リューベック条約

リューベックの和約

リューベックの和約（Lübecker Frieden）は、1629年5月22日にドイツのリューベックで締結された、三十年戦争における重要な和平条約です。この条約は神聖ローマ皇帝とデンマーク王クリスティアン4世との間で交わされました。

背景

デンマーク王クリスティアン4世は、ホルシュタイン公として北ドイツにおいてその支配を確立しようとしました。彼は軍隊を動員し、領土拡張の野心を持ちつつ、プロテスタント諸侯の支援も重要な目的としていました。1625年の春には、抵抗をほとんど受けずにザクセンに進駐しましたが、1626年にはヴァレンシュタインという強力な敵軍と遭遇します。

ヴァレンシュタインは皇帝フェルディナント2世の指揮のもと、大きな軍を動員し、カトリック同盟と連携してデンマーク軍を北ドイツから排除することに成功しました。デッサウの戦い（1626年4月25日）ではヴァレンシュタインが初戦を勝利し、さらに1626年のルッターの戦い（8月27日）ではティリーがクリスティアン4世の軍を打ち破る結果となりました。このようにして、デンマーク軍は北ドイツでの支配を失い、クリスティアン4世は戦局を立て直すことができず、結果的に1629年初頭には和平を望むようになりました。

和約の内容

1629年5月22日にリューベックの和約が結ばれました。この和平条約には以下のような内容が含まれています。
1. デンマーク王は、ホルシュタイン公及び帝国侯爵としての立場において、帝国内の問題に介入することが承認されました。今後の争いは、交渉や仲裁によって解決されることが定められました。
2. 双方は損害賠償の請求権を放棄し、互いにおいて請求権を立てないと合意しました。また、デンマーク王は侵略された領土を返還されると共に、皇帝軍は北ドイツから即時撤退することとなりました。
3. 双方は捕虜を直ちに解放しなければならないとされました。
4. スペイン王、ポーランド王、スペイン領ネーデルラント総督、オーストリア家および選帝侯、イングランド王、フランス王、スウェーデン王及びネーデルラント連邦は、和平の参与者として認められました。
5. バルト海及び北海の諸島はシュレスヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゴットルプ侯爵領に返還され、軍隊は撤退することが命じられました。

結果

この和約により、デンマーク王とそれを支持する帝国のプロテスタント諸侯は、皇帝とカトリック同盟軍との決定的な戦闘の後、一定の成果を得ました。この結果、フェルディナント2世は1629年3月6日に復旧令を発布し、プロテスタントの手に渡っていた帝国の世俗化された地域を再びカトリックの聖界に返還するように指示しました。このように、リューベックの和約は三十年戦争における重要な転機を形成し、その後のヨーロッパの宗教的、政治的動向に大きな影響を与えました。

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