リワ・オアシス

アラブ首長国連邦、アブダビ首長国南部のサウジアラビア国境近くに広がるリワ・オアシスは、壮大な砂漠の中に点在するオアシスの総称です。その規模は東西約100キロメートルにも及び、大小様々なオアシスが連なる光景は、訪れる者を圧倒するでしょう。

この地は、古くからベドウィンと呼ばれる遊牧民たちが生活の拠点を築いてきました。現在も約50もの集落が存在し、代々受け継がれてきた伝統的なナツメヤシ栽培が盛んに行われています。良質な地下水を巧みに利用した灌漑システムは、厳しい砂漠環境においても豊かなオアシスを育んできました。この伝統的な農業技術は、2016年に国連食糧農業機関（FAO）によって「アル・アインとリワのナツメヤシオアシス」として世界重要農業遺産システム（GIAHS）に登録され、その価値が世界的に認められています。

リワ・オアシスは、単なる農業地帯ではありません。アブダビとドバイの首長一族の祖先も、かつてこの地で生活していたと伝えられています。悠久の歴史が刻まれたこの地には、多くの物語が眠っていると言えるでしょう。近年では観光客も増加しており、砂漠の絶景と伝統的な文化、そして豊かな歴史に触れようと訪れる人が増えています。海岸から100キロメートル内陸へ続くハイウェイは、リワ・オアシスへのアクセスを容易にしており、その途中には大油田の基地も点在しています。このハイウェイ沿いからも、広大な砂漠の中に浮かぶオアシスの美しい景観を眺めることができます。

リワ・オアシスの水の供給源は、東方のオマーン領ハジャール山脈を水源とする地下水です。山脈からペルシア湾に向けて伏流するこの地下水は、オアシスの生命線となっています。先人たちが培ってきた伝統的な灌漑技術と、自然の恵みによって育まれたリワ・オアシスは、アラブ首長国連邦の貴重な自然遺産であり、人々の生活と文化を支える重要な場所です。

砂漠の広大な風景の中に点在するオアシスの緑、そしてその中で営まれる伝統的な生活様式は、現代社会では失われつつある貴重な文化遺産と言えるでしょう。リワ・オアシスを訪れることで、私たちは自然と人間の共存、そして歴史の重みを実感することができるはずです。これからも、この貴重なオアシスが大切に守られ、未来へと継承されていくことを願ってやみません。

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