リンカン大聖堂

リンカン大聖堂の歴史と魅力

リンカン大聖堂（Lincoln Cathedral）は、イングランド東部リンカンシャー州のリンカン市に位置する重要な宗教的建造物です。この大聖堂はイングランド国教会リンカン司教区の司教座でもあり、正式名称は「The Cathedral Church of the Blessed Virgin Mary of Lincoln」となっています。建物は初期イギリス式ゴシック様式（アーリー・イングリッシュ様式）の一例であり、その美しさと歴史的価値から多くの観光客が訪れています。

大聖堂の建設は1072年にウィリアム1世の命令により始まりました。最初の聖堂は1095年に完成したものの、その後の火災や地震によって多くが崩壊してしまいました。特に1185年の地震を契機に大規模な再建が行われ、現在見られる形状へと進化していきました。

特に注目すべきは、中央の塔です。1311年にこの塔が完成し、当時のリンカン大聖堂は世界で最も高い建物とされていました。その高さは約160メートルに達し、現存する塔の上には尖塔があったため、完成当時はより一層の壮観さを誇っていました。しかし、1549年の嵐によってこの尖塔が吹き飛ばされ、その後は高さ159メートルの聖オーラフ教会にその座を譲ることとなります。この高さの記録は、1884年にワシントン記念塔が完成するまで、そして1890年にウルム大聖堂が完成するまで更新されませんでした。

リンカン大聖堂の西正面には、特徴的な二つの塔があります。これらは1370年から1400年の間に建設されたものです。中央の尖塔が崩壊した後も、これらの塔はその美しさを保ちながらそびえ立ち続けましたが、18世紀に入り劣化が目立つようになりました。1724年、建築家ジェイムズ・ギッブズが大聖堂の調査を行い、尖塔の存在が下部アーチや柱に損傷を与えたことを指摘しました。その結果、尖塔の取り壊しが勧告されましたが、これを知らされた住民たちは工事を阻止するために集まって抗議しました。

最終的には、大聖堂の管理者と住民の折衝の結果、応急処置による延命が試みられましたが、長期的には維持不可能であると判断され、1807年に尖塔は撤去されることとなりました。

リンカン大聖堂はその壮麗な外観と数世紀にわたる建築の歴史から、多くの人々を魅了しています。訪れる人々は、この大聖堂の荘厳さと、そこに込められた人々の信仰や歴史の重みを肌で感じることができるでしょう。

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