リンク 22

リンク22（Link 22）とは

リンク22は、北大西洋条約機構（NATO）加盟国が共同で開発を進めている、戦術データリンクの規格です。これは、既存のリンク11を置き換え、より高度な情報伝達能力を目指して開発されました。2008年から一部運用が開始されています。

開発の背景

NATOでは、これまで戦術情報の通信にリンク11を使用してきました。しかし、技術の進歩に伴い、より高速で信頼性の高い通信システムが求められるようになりました。そこで、リンク11を改良・更新する目的で、リンク22の開発が始まりました。また、リンク16との互換性も重視されており、異なるシステム間での情報共有の円滑化が図られています。

開発は1992年から「NILE（NATO Improved Link 11）」という名称で開始され、アメリカ、カナダ、フランス、イギリス、ドイツ、スペイン、イタリアの7ヶ国が参加しました。

技術的な特徴

リンク22は、リンク11と同様に短波（HF）と超短波（VHF）の周波数帯を使用します。通信フォーマットはリンク16と互換性のあるものが採用されており、9バイトのパケット通信で、TDMA（時分割多元接続）方式を用いています。リンク16はUHF帯を使用し、見通し線外通信には衛星通信が必要でしたが、リンク22はHF帯も利用できるため、衛星通信に頼らずとも長距離通信が可能です。これにより、より柔軟で自律的な通信ネットワークの構築が可能になります。

リンク22は、スーパーネットワーク（SN）として、最大500海里の範囲内で125基の機器をネットワークに組み込むことができます。さらに、このスーパーネットワークは8つのサブネットワークに分割でき、各サブネットワークは同一の周波数帯を用いて、固定周波数または周波数ホッピングにより通信を行います。サブネットワークは、300海里以内の範囲で展開されます。1つの機器は、最大4つのサブネットワークに参加できます。

データ伝送速度は、VHF帯で最大10Kbps、HF帯で最大3.6Kbpsです。

リンク22の利点

長距離通信能力: HF帯の利用により、見通し線外の長距離通信が可能となり、より広範囲な情報共有が実現します。
柔軟なネットワーク: スーパーネットワークとサブネットワークの構成により、柔軟で拡張性の高い通信ネットワークを構築できます。
相互運用性: リンク16との互換性により、異なるシステム間での情報共有が円滑になります。

関連項目

統合戦術情報伝達システム
* リンク16

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