時分割多元接続

時分割多元接続（TDMA）とは

時分割多元接続（Time Division Multiple Access、TDMA）は、無線通信や光通信において、複数の通信局が同一周波数の電磁波を共有するための技術です。具体的には、時間軸を複数のスロットに分割し、各通信局に特定のタイムスロットを割り当てることで、複数の局が同時に通信できるようにします。

TDMAの主な特徴

時間ダイバーシティによるフェージング耐性: TDMAでは、時間を分割して通信するため、電波の干渉による信号の減衰（フェージング）の影響を軽減できます。時間ダイバーシティを活用することで、安定した通信が可能です。
回線交換接続: TDMAは、回線交換方式を採用しています。これにより、通信開始時に帯域が確保されるため、遅延時間や通信速度が保証された通信が可能です。
無線局間の同期が必須: TDMAでは、各局が正確に同期して通信を行う必要があります。これは、割り当てられたタイムスロットを正確に守るために不可欠です。
周波数利用効率と回路規模: TDMAは、周波数分割多元接続（FDMA）や符号分割多元接続（CDMA）と比較して、周波数利用効率と回路規模が中間程度に位置づけられます。バランスの取れた設計が可能です。
遅延時間: 時間軸圧縮を行っているため、特に音声通信では遅延が発生する可能性があります。
衛星通信: TDMAは、衛星通信において、地球局から受信する電波の電力差に対応しやすいという利点があります。周波数分割多元接続（FDMA）と比較して、より柔軟な運用が可能です。

TDMAの主な用途

通信衛星: 衛星通信システムにおいて、複数の地球局が同時に通信を行うためにTDMAが利用されます。
第二世代携帯電話: PDC（Personal Digital Cellular）やGSM（Global System for Mobile Communications）などの第二世代携帯電話システムで、TDMAが採用されました。
PHS（Personal Handy-phone System）: 日本のPHSシステムでもTDMAが利用されています。
FlexRay: 自動車の電子制御システムで使用される通信プロトコルであるFlexRayでも、TDMAが採用されています。
GE-PON（Gigabit Ethernet Passive Optical Network）: GE-PONの上り信号の伝送にTDMAが利用されます。

動的帯域割り当て（Dynamic Bandwidth Allocation, DBA）

GE-PONにおいては、OLT（Optical Line Terminal）がONU（Optical Network Unit）からの上り信号の帯域を、各ONUのトラフィック量に応じて動的に割り当てる機能（動的帯域割り当て、DBA）が利用されます。これにより、信号の衝突を避けて効率的な通信が可能になります。

関連技術

多元接続: 複数の通信局が通信回線を共有するための技術全般を指します。
符号分割多元接続（CDMA）: 各局に異なる拡散符号を割り当て、スペクトラム拡散変調を用いて多元接続を行う技術です。
周波数分割多元接続（FDMA）: 電波の周波数帯域を分割し、各局に異なる周波数を割り当てることで多元接続を行う技術です。
* 時分割複信（TDD）: 上り回線と下り回線を時間で分割して使用する通信方式です。

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