リングバッファ

リングバッファとは

リングバッファ（ring buffer）は、サーキュラーバッファ（circular buffer）や環状バッファとも呼ばれる、データの一時的な保管場所です。その最大の特徴は、バッファ領域がリング状に配置されている点です。これにより、バッファの終端と先端が論理的に連結され、データが循環的に利用できるようになります。

仕組み

リングバッファは、一般的にメモリ効率の良い配列を用いて実装されます。しかし、物理的に配列をリング状に配置することは不可能なため、インデックス（添え字）をバッファサイズで割った余りを求めることで、論理的にリング構造を実現します。この正規化処理により、インデックスがバッファの終端を超えると先頭に戻り、負のインデックスは終端に進むため、バッファ内を循環的にアクセスできます。

正規化には通常、剰余演算が用いられますが、プロセッサによっては剰余演算が遅いため、バッファサイズを2のべき乗に切り上げ、ビットごとの論理積を用いる最適化が施されることがあります。ただし、メモリ使用量が限られる場合は、剰余演算や条件分岐を用いてバッファサイズを調整することも可能です。これらの最適化は、配列のインデックスが0から始まる「0オリジン」の場合に適用されます。1から始まる「1オリジン」などの場合は、事前に0オリジンに換算する必要があります。リングバッファのインデックスは、数論的には剰余類を構成します。

類似の機構

アナログ記録のエンドレステープは、物理的にリング構造を持つため、リングバッファの一例と捉えることもできます。

用途

リングバッファは、動画や音楽再生時のバッファリングによく利用されます。この際、データの書き込み位置と読み込み位置が衝突する可能性があります。また、ストリーミングなどでバッファへのデータ蓄積が再生速度より遅れると、再生が一時停止するバッファ待ちが発生します。

まとめ

リングバッファは、データの流れを効率的に管理するための重要な技術です。その柔軟性と効率性から、様々な分野で活用されています。

関連項目

配列
キュー (コンピュータ)
* 両端キュー

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