リンショーピング大聖堂

リンショーピング大聖堂：800年以上の歴史を刻むスウェーデンの聖堂

スウェーデン、エステルイェートランド地方の都市リンショーピングに位置するリンショーピング大聖堂は、ヨーロッパ最大級のゴシック建築を誇るルーテル教会の大聖堂です。リンショーピング司教管区の中心地として、800年以上にわたって人々の信仰を集め続けてきました。向かいにはリンショーピング城が建ち並び、歴史と文化が息づく場所となっています。

歴史：幾度もの増改築と時代の変遷

大聖堂の歴史は11世紀、木造教会の建設に始まります。その後、1120年頃には石造りのバシリカが建てられましたが、13世紀にはコミュニティの拡大に伴い、より広大な教会の必要性が高まりました。東側への拡張、新しい聖歌隊席と側廊の追加など、幾度もの改築を経て現在の規模となりました。

1251年には、ヴァルデマール1世の戴冠式が行われたことも大聖堂の歴史に大きな足跡を残しています。この戴冠式を契機に、本堂が建設され、現在の全長110メートル、塔の高さ107メートルという壮大なスケールへと発展しました。

15世紀初頭には、大きな窓と星形のヴォールトを持つゴシック様式の礼拝堂が追加されました。アンデレ、ニルス・ヘルマンソン、トマス・ベケットにちなんで名付けられたこれらの礼拝堂は、イギリスやドイツからの職人たちの技術が結集した、豪華な彫刻装飾が特徴です。15世紀後半のゴシック彫刻において、重要な中心地であったと言われています。

塔は1747年から1758年、そして1877年から1886年にかけて再建され、1967年には17世紀当時の屋根の形状が復元されました。現在も銅板葺きの屋根は緑青を帯び、歴史の重みを物語っています。

装飾：イギリス、ドイツ、オランダの芸術家たちの技

大聖堂の内装は、13世紀以降、数々の芸術家たちの技によって彩られてきました。身廊のアーケードやヴォールトの彫刻には、イギリスのハイ・ゴシック様式の特徴や、イギリスの民話に登場するグリーンマンのモチーフが見られます。当時イギリスで作られた硬貨が見つかっていることから、イギリス人芸術家の関与が示唆されています。

南入口のティンパヌムには、ドイツ風の「キリストの降誕」と「受難」のレリーフが施されています。また、16世紀オランダ黄金時代の巨匠、マールテン・ファン・ヘームスケルクによる「磔」の絵画も、大聖堂の重要な作品として収蔵されています。この絵画は、宗教改革の影響でアルクマールの教会から移され、紆余曲折を経てリンショーピング大聖堂にたどり着いた歴史を持ちます。

2006年には、イギリス人芸術家ブライアン・クラークによるステンドグラスが、2010年にはバーンハルド・リースバリ基金の支援により新たな窓が設置されました。

大衆文化への影響

リンショーピング出身のミュージシャン、トビアス・フォージ率いるメタルバンド、ゴーストのアルバム『Opus Eponymous』のジャケットにもリンショーピング大聖堂が登場しています。この事実は、大聖堂が現代のポップカルチャーにも影響を与えていることを示しています。

埋葬されている人物

大聖堂には、ユーハン（エステルイェートランド公爵）、ヨーン・ヤール、シェッティル・カールソン（ヴァーサ王朝の聖職者）、マリア・エリーサベト（カール9世の娘）など、歴史に名を残す人物が埋葬されています。

結論

リンショーピング大聖堂は、その壮大な建築、歴史的芸術作品、そして現代文化への影響を通して、スウェーデンの歴史と文化を象徴する存在です。800年以上の歴史を刻み、未来へとその姿を継承し続ける、まさに歴史的建造物と言えるでしょう。

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