リンツ&シュプルングリー

リンツ＆シュプルングリー：チョコレートの歴史とグローバル展開

リンツ＆シュプルングリー社は、スイス・チューリッヒ州キルヒベルクに本社を置く、名実ともに世界的なチョコレートメーカーです。1845年、チューリッヒで小さな菓子店として創業して以来、170年以上にわたる歴史の中で、数々のブランドを傘下に収め、世界中にショコラカフェやブティックを展開するまでに成長しました。

創業から発展へ：二つの伝統の融合

1845年、シュプルングリー家はチューリッヒ旧市街で菓子店を開業します。その後、1859年には中心街に2号店を出し、1870年には大規模なチョコレート工場を設立。1899年にはキルヒベルクに新工場を建設し、株式会社ショコラ・シュプルングリーを設立、近代的な経営体制を整えました。一方、1879年にはロドルフ・リンツが、従来とは異なる滑らかなチョコレートの製造方法を発明、国際的な評判を獲得します。

19世紀末、シュプルングリー家はリンツのチョコレート事業を買収、両社の歴史と技術が融合することで、現在のリンツ＆シュプルングリー社の基礎が築かれました。社名は「ベルン・チューリッヒ合同チョコレート製造会社リンツ＆シュプルングリー」となり、世界市場への進出を開始します。第一次世界大戦中は輸出が全体の4分の3を占めるなど、国際的な企業として成長を遂げました。

しかし、戦後の世界恐慌や第二次世界大戦中の輸入規制は大きな打撃となり、リンツ＆シュプルングリー社も深刻な経営危機に陥ります。戦後のチョコレート需要の高まりを受け、同社は増産体制を強化。1949年には看板商品となる「リンドール」を発表し、1960年代には国内メーカーの買収・統合を進め、事業規模を拡大しました。

1994年には経営体制の再編を行い、持株会社制に移行。各国に現地法人を設立し、グローバルな事業展開を加速させます。2009年にはリテール部門を新設、世界各地に300以上のショコラカフェやブティックを開設し、多様な製品と店舗体験を提供するようになりました。

多様なブランドとグローバルな展開

リンツ＆シュプルングリー社は、リンツチョコレートの他、数々の著名なチョコレートブランドを傘下に収めています。オーストリアのホフバウアー（1994年買収）、イタリアのカファレル（1997年買収）、アメリカのギラデリ（1998年買収）、ラッセルストーバー（2014年買収）など、各国で高い人気を誇るブランドを統合することで、グローバルな市場における競争力を強化しています。

日本においては、リンツ＆シュプルングリージャパン株式会社が、輸入・販売、ショコラカフェやブティックの運営を行っています。南青山などを中心に展開する店舗では、チョコレート、ケーキ、マカロン、アイスクリームなど、多様な製品と洗練された空間を提供することで、日本の消費者に高品質なチョコレート体験を提供し続けています。

リンツ＆シュプルングリー社の未来

リンツ＆シュプルングリー社は、創業以来、常に変化する市場環境の中で、高品質な製品と革新的な経営戦略によって成長を続けてきました。伝統と革新を融合させ、これからも世界中の人々に、上質なチョコレート体験を提供し続けることが期待されています。

参考文献

リンツ＆シュプルングリー社公式ウェブサイト
各種報道資料

もう一度検索