リーギコグ

エストニアのリーギコグ：その権限と立法手続き

エストニア共和国の一院制議会であるリーギコグ（Riigikogu）は、同国の政治の中枢を担う重要な機関です。1991年に設置されたリーギコグは、国民の代表者によって構成され、多様な政策決定に関与しています。

リーギコグの概要

リーギコグは101名の議員で構成され、任期は4年です。ただし、憲法に基づき解散される可能性もあります。選挙は、全国を12ブロックに分割した自由名簿式比例代表制で行われます。各ブロックから5～14名の議員が選出され、全国で有効投票総数の5%以上の得票を得た政党のみが議席を獲得できます。

近年は、改革党、保守人民党、中央党、エストニア200など複数の政党が議席を獲得しており、政局は流動的です。2023年の総選挙では、改革党が第一党となりましたが、他党との連立が必要となるケースが多く、政党間の駆け引きが政治の大きな部分を占めています。

選挙権と被選挙権

リーギコグの選挙権は、18歳以上のエストニア国民に与えられています。ただし、裁判所によって法的無能力を宣告された者は、選挙権を失います。一方、被選挙権は21歳以上のエストニア国民で、選挙権を有する者に限られます。また、議員に就任した者は、他の公職を兼ねることはできません。

行政との関係

エストニアは議院内閣制を採用しており、首相と大統領はリーギコグから選出されます。通常、与党の党首が首相に就任します。大統領は間接選挙によって選出されるため、権限は限定的ですが、重要な役割を担っています。リーギコグは、政府や首相に対する不信任決議を行う権限を持ち、不信任案が可決された場合、政府は解散されるか総辞職となります。

リーギコグの権限

リーギコグは広範な権限を有しており、その主なものとしては、法律の制定・改正、予算の承認、大統領の選出、国際条約の批准・破棄、政府への不信任決議などが挙げられます。さらに、国民投票の実施を決定したり、最高裁判所長官などの重要ポストへの任命にも関与しています。

委員会

リーギコグには、欧州連合事務委員会、環境委員会、文化委員会など11の常任委員会が設置されています。これらの委員会は、専門分野ごとに法律案や政策を審査し、リーギコグ本会議に報告します。

立法手続

リーギコグの立法手続は、三読会制が基本です。法律案は、まず提出され、第一読会で一般原則について、第二読会で条文について審議されます。そして、修正などが加えられたのち、第三読会で最終投票が行われ、成立します。予算案も同様に三読会制で審議されます。また、国民投票に付託することも可能です。ただし、予算、税金、公債、条約の批准・廃棄、非常事態宣言などは、国民投票の対象外です。

大統領は、成立した法律案を公布する権限を持ちますが、違憲性を疑う場合は最高裁判所に審査を依頼できます。最高裁判所が合憲と判断した場合、大統領は公布しなければなりません。

憲法改正手続

憲法改正は、国民投票、2期連続の手続、緊急手続の3つの方法で行われます。国民投票は、憲法の重要な部分の改正に用いられます。2期連続の手続は、通常の手続を2期にわたって行う方法で、緊急手続は、緊急性を要する改正に用いられます。いずれの方法も、高い賛成率が求められ、慎重な議論が重ねられる仕組みとなっています。

リーギコグは、エストニアの民主主義を支える重要な機関であり、その活動は国民生活に大きな影響を与えています。今後も、多様な政党がしのぎを削る中、リーギコグの役割はますます重要になっていくでしょう。

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