読会制

読会制：議会における立法プロセス

読会制は、議会が法律を制定する際に用いられる審議方法です。本会議を重視する議会において広く採用されており、特にイギリス議会で発祥した歴史を持つ制度として知られています。委員会制とは対照的な手法で、法案の審議と採決を複数の段階（読会）に分けて行う点が大きな特徴です。

読会制の種類と概要

読会制には、主に三読会制と二読会制があります。三読会制は、第一読会、第二読会、第三読会の3段階を経て法案を審議・採決する方式です。二読会制は、その名の通り2段階で審議を行います。「読会」という名称は、歴史的には法案の朗読を意味していましたが、現在は、本会議中心の制度、あるいは「第○読会」という会議や審議時間そのものを指す言葉として広く用いられています。

日本の議会と読会制

日本においては、大日本帝国憲法下では帝国[[議会]]が三読会制を採用していました。これは議院法に規定されており、法案は原則として三読会を経ることで成立しました。しかし、日本国憲法施行後は、アメリカ合衆国をモデルとした委員会中心主義が採られるようになり、国会法において読会制は廃止されました。この委員会中心主義への移行は、戦後の制度改革の一環として行われましたが、その必要性や適切性については、現在でも様々な議論がされています。

議院法における三読会制

明治22年の議院法では、三読会制に関する詳細な規定が設けられていました。

第一読会: 法案の朗読（実際には省略されることが多い）、趣旨説明、質疑応答などが行われ、委員会への付託が決定されます。院内議員提出の法案は、委員会付託を経ずに第二読会へ進むか否かの採決が行われます。
第二読会: 逐条審議が行われ、議員による修正動議などが提出されます。実際には、委員会での詳細な審議結果を踏まえて修正案を中心に議論が進められるのが一般的でした。
* 第三読会: 法案全体の可否を決定する段階です。修正動議は、文字の修正や法案内部の矛盾修正などに限定され、原則として新たな修正は認められません。

議院法では、政府の要求や議員10名以上の要求があれば、出席議員3分の2以上の多数決によって三読会の手続きを省略することが認められていました。しかし、実際には、重要法案以外では、正式な三読会の手続きが省略されるケースが増えていった経緯があります。

他の国における読会制

現在でも、イギリス議会をはじめとするウェストミンスター・システムを採用する国の議会では、読会制が重要な審議ステップとして位置づけられています。一方、アメリカ合衆国議会など委員会中心主義の国においても、形式的には読会制が採用されている場合が多く見られますが、実際の手続きは簡略化されていることが多いです。イギリスや旧帝国[[議会]]、アメリカ連邦議会の各々の三読会の手続きには違いが見られますが、いずれも、法案の審議と採決において、段階的なステップを踏む点が共通しています。

結論

読会制は、議会の立法プロセスにおける歴史的に重要な審議方法です。その形式や重要性は国によって異なりますが、法案の審議を段階的に進めるという点において共通性があり、現代の議会制度を考える上で重要な要素となっています。委員会中心主義との比較検討を通じて、各国の議会制度の特徴を理解することが重要です。

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