ルアンパバーン郡

ルアンパバーンは、ラオス北部に位置する古都であり、その街全体がユネスコの世界遺産に登録されています。メコン川を遡り、ナムカン川との合流地点に位置しており、豊かな自然に囲まれた美しい景観が特徴です。人口は約6万人で、静かで落ち着いた雰囲気が漂います。

歴史

ルアンパバーンは、古くは「ムアン・スワー」と呼ばれていました。698年には、初代クーン・ロー王によってスワー侯国が建国されました。11世紀頃からは「シエンドーンシエントーン」というタイ語名で呼ばれるようになり、1353年にはラーンサーン王国の首都として繁栄を遂げました。この時、パバーン仏が贈られ、王国の中心地として重要な役割を担いました。

15世紀にはベトナム軍の侵攻により一時的に破壊されますが、その後もラーンサーン王国の重要な都市であり続けました。16世紀には、セーターティラート王によってヴィエンチャンに遷都されるまで、政治・文化の中心地でした。遷都に伴い、都市の名前も「ルアンパバーン」に改称されました。

17世紀以降はルアンパバーン王国の首都として、再び繁栄の時代を迎えます。18世紀にはシャム（タイ）の支配下に入り、パバーン仏が略奪されるなど、歴史の波に翻弄される時期もありました。19世紀にはフランスの保護領となり、20世紀に入りラオスが独立するまでフランスの支配下に置かれました。1975年の共産主義革命まで王宮が置かれていましたが、政治的な首都は以前からヴィエンチャンでした。

表記

現在はラーオ語の発音に近い「ルアンパバーン」という表記が一般的ですが、かつてはタイ語のローマ字表記である「ルアンプラバン」や「ルアンプラバーン」という表記も用いられていました。英語やフランス語などのヨーロッパ諸語や、他の東南アジア諸語、中国語や韓国語などでは、現在でも「ルアンプラバン」の発音を基にした綴りが採用されています。

主な建築物

ルアンパバーンには、数多くの歴史的な建造物が残っています。ワット・シエントーンは16世紀に建てられた美しい寺院で、ルアンパバーンのシンボルの一つです。ワット・ウィスナラートは、ラオス最古の寺院であり、その歴史的な価値が注目されています。プーシーの丘には、タート・チョムシーと呼ばれる仏塔があり、ここからはルアンパバーンの街並みを一望できます。また、旧王宮はルアンパバーン国立博物館として公開されており、当時の王族の生活様式を知ることができます。

交通

ルアンパバーン国際空港は、タイ、ベトナム、中国などの近隣諸国を結ぶ国際線と、国内線が運航しています。陸路では、国道13号線を利用してヴィエンチャンなどの主要都市と繋がっています。また、中国ラオス鉄道の開通により、昆明からのアクセスも容易になりました。水路では、メコン川を利用してタイ国境のフエイサイまでアクセスできます。

観光・産業

ルアンパバーンは、美しい自然と歴史的な建造物、独自の文化が魅力的な観光都市です。2008年にはニューヨーク・タイムズの調査で、旅行者が訪れたい国の1位に選ばれました。1995年に世界遺産に登録されてから、観光客が増加しています。また、近年では植物園の開園や高級ホテルの進出など、観光インフラの整備も進められています。

気候

ルアンパバーンは熱帯モンスーン気候に属しており、乾季と雨季がはっきりしています。年間を通して温暖な気候ですが、雨季には降水量が多くなります。

主な観光地

王宮博物館: かつての王宮で、内部には王室で使用されていた調度品や、ラオスのシンボルであるパバーン仏が展示されています。
サッカリン通り: 寺院が集中しており、早朝には僧侶による托鉢が見られます。
ワット・シエントーン: 16世紀に建立されたルアンパバーンの象徴的な寺院です。
ワット・マイ: 王宮博物館に隣接する大きな寺院です。
ワット・セーン: 18世紀に建立された美しい寺院で、正式名称は「ワット・セーンスッカラム」です。
ワット・ビスンナラート: 16世紀に建立された寺院で、別名「スイカ寺」と呼ばれています。
プーシーの丘: 町を見下ろせる小高い丘で、夕日の名所として知られています。
パークウー洞窟: メコン川沿いの洞窟で、多くの仏像が安置されています。
クアンシーの滝: 美しい滝で、自然を満喫できます。
ナイトバザール: 毎晩開かれる市場で、お土産や食べ物を購入できます。

ルアンパバーンは、その美しい景観と歴史的な魅力から、世界中から多くの観光客が訪れる人気の観光地です。ゆっくりと時間をかけて、その魅力を味わってみてください。

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