ルイの9番目の人生

イギリス、カナダ、アメリカ合作によるスリラー映画『ルイの9番目の人生』。監督はアレクサンドル・アジャ、主演はジェイミー・ドーナンが務め、リズ・ジェンセンの小説が原作です。

物語の中心は、9歳の少年ルイ・ドラックス。彼はこれまで実に9回もの死の危機を経験してきたという、並外れた運命を背負っています。そして物語は、ピクニック中に崖から転落するという、最新の事故から始まります。ルイ自身も転落の原因を理解できません。

物語は現在と過去の出来事を交錯させながら展開します。過去の場面では、ルイが精神科医ペレーズと面談する様子が描かれています。そこで明らかになるのは、ルイの奇異な行動の数々。極端な人間不信、ペットのハムスターを殺してしまうなど、問題行動を繰り返していました。しかし、彼はそれらを「やりたいことをやる権利」だと正当化し、反省の色を見せません。ペレーズ医師は、ルイの両親、ピーターとナタリーの夫婦関係に問題があると推測します。実際、夫婦仲は険悪で、ピーターはルイと元妻を連れてシーワールドへ旅行するなど、ナタリーを激怒させていました。ペレーズ医師はルイとの約束を破り、ナタリーにルイの体験談を確認したことで、ナタリーの反発を買い、治療は打ち切られてしまいます。

崖からの転落事故後、ルイは一度は死亡宣告を受けますが、奇跡的に息を吹き返します。しかし、昏睡状態が続きます。事故後行方不明になった父親ピーターが容疑者として浮上します。ルイの担当医となったアラン・パスカル医師は、ナタリーと親しくなり、次第に惹かれ合っていきます。二人はキスを交わすまでに至りますが、その直後、ルイは一瞬意識を取り戻し、「お父さん」と呟いた後、再び昏睡状態に陥ってしまいます。

その後、ナタリーとパスカル宛に、ルイ・ドラックスの名前で脅迫状が届きます。捜査を担当するダルトン警部は、脅迫状の筆跡からピーターが犯人だと断定しますが、念のため病院内の全員の筆跡を検査します。ナタリーの身辺に危険が迫っているため、警察は病院の一室で彼女を警護します。一方、パスカル医師はダルトンの忠告を無視し、ナタリーへの想いを募らせていきます。

ナタリーはルイを養子に出す手続きを進めており、パスカルに驚くべき真実を打ち明けます。それは、ルイがレイプされた際にできた子供であるという告白です。この告白を聞いたパスカルは、ナタリーとの関係を深めてしまいます。

ピーターの母親であるヴァイオレットが病院を訪れます。彼女はナタリーとパスカルの関係を見抜き、ナタリーの気性の不安定さや嘘をつく才能についてパスカルに警告します。パスカルは、ナタリーのレイプの告白も嘘ではないかと疑い始めます。その時、ピーターの死体が発見されたという知らせが入ります。ピーターは崖から転落後も生きており、洞窟の中で肺炎で亡くなっていたのです。脅迫状はピーターの犯行ではなかったことが判明します。

これらの出来事が起こっている間、ルイは意味深なうわごとを繰り返し呟いていました。その中で、ルイは海藻に覆われた謎めいた生物と遭遇したというのです。その生物はルイを励ましていたといいます。ある夜、ルイのベッドのそばで寝落ちしたパスカルは、同じ生物を夢で見ます。ルイは、ある洞窟の中でその生物と出会っていたのです。驚くべきことに、ピーターの死体は、海藻に覆われた状態で、その洞窟の中で発見されました。ルイの夢に出た生物は、ピーターだったと考えるのが自然です。

パスカルは夢を通してルイの意識と接触することに成功します。そして明かされる真実は、想像を絶する恐ろしいものでした。

本作は、ジェイミー・ドーナン、サラ・ガドン、アーロン・ポールら実力派俳優が出演。そして、アンソニー・ミンゲラの遺志を継いで、息子のマックス・ミンゲラが製作に携わっている点も注目です。批評家の評価は賛否両論ありますが、その衝撃的なストーリーと、謎めいた展開は多くの観客を魅了するでしょう。

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