ルイジ・タベリ

ルイジ・タベリ：ホンダ黄金期の立役者

ルイジ・タベリ（1929年9月19日 - 2018年3月1日）は、スイス・ホルゲン出身の伝説的なオートバイレーサーです。ロードレース世界選手権125ccクラスにおいて、1962年、1964年、そして1966年と3度のワールドチャンピオンに輝くなど、輝かしい功績を残しました。

彼のキャリアは1954年、500ccクラスでの世界選手権デビューから始まります。ノートンマシンを駆り、世界最高峰の舞台に挑んだ彼は、その後125ccクラスに主戦場を移します。1955年には、スペインGPでグランプリ初優勝を飾り、才能の片鱗を世界に見せつけました。同年のダッチTT 250ccクラスでも勝利を収めるなど、早くから頭角を現します。

マン島TTレースにおいても、1955年から1966年にかけて3勝を含む好成績を収めました。マン島TTは当時、世界選手権の一戦として開催されていた非常に危険かつ過酷なレースとして知られており、その中で幾多の勝利を収めたタベリの卓越したライディングテクニックと胆力は、並外れたものだったと言えるでしょう。

MVアグスタ、ドゥカティ、MZ、クライドラーなど、様々なメーカーのマシンを乗り継ぎながら経験を積んだタベリは、1961年にホンダと契約。これは彼のキャリアにとって大きな転機となります。ホンダは当時、グランプリにおける黄金期を迎えており、タベリはその中心人物として活躍することになります。

ホンダでの活躍は目覚ましく、1962年と1964年には125ccクラスでワールドチャンピオンの栄冠に輝きました。そして1966年、ホンダは50ccから500ccクラスまで全クラスでメーカータイトルを獲得するという偉業を達成しますが、タベリもまた、ビル・アイビーとの激しい争いを制し、125ccクラスのタイトルを獲得することで、この歴史的偉業に大きく貢献しました。

しかし、ホンダは翌年から500ccクラスに集中するため、小排気量クラスからのワークス活動を撤退することを決定します。タベリは、このホンダの決定と歩調を合わせるように、1966年をもってグランプリからの引退を表明しました。

2018年3月1日、88歳で脳卒中のため逝去。ホンダは八郷隆弘社長名で追悼コメントを発表し、東京・青山本社の1階にはタベリが駆ったグランプリマシンを展示した追悼コーナーが設けられました。また、スイスで行われた葬儀には、タベリと親交の深かった日本のレーサー、高橋国光氏も参列しました。

ルイジ・タベリは、数々のタイトル獲得だけでなく、ホンダの黄金期を支えた重要な人物として、モータースポーツ史にその名を刻みました。彼の功績は、後世のレーサーたちにとって、永遠に記憶されるべきものです。彼のライディングテクニック、そして不屈の精神は、多くのレーサーたちに多大な影響を与え続け、現在もモータースポーツ界に深く根付いていると言えるでしょう。

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