ルイ・コスタ

ルイ・コスタ：稀代の「マエストロ」の軌跡

ルイ・マヌエル・セーザル・コスタ（Rui Manuel César Costa）は、1972年3月29日、ポルトガル・アマドーラ出身の元サッカー選手。現役時代は卓越したテクニックと広い視野、正確無比なパスで「マエストロ」と称され、攻撃的MFとして世界を魅了しました。現在は、現役時代に所属したSLベンフィカの会長を務めています。

クラブキャリア

SLベンフィカ

1982年、10歳でベンフィカの下部組織に入団。エウゼビオに見出され、才能を開花させます。1990年に2部のADファフェへレンタル移籍し、プロデビュー。1991年にベンフィカへ復帰すると、中心選手として活躍。ジョアン・ピントらと強力な中盤を形成し、1991-92シーズンにはポルトガル・カップ、1993-94シーズンにはプリメイラ・リーガを制覇しました。

ACFフィオレンティーナ

1994年、FCバルセロナへの移籍が内定していたものの、ベンフィカの会長交代により移籍金が高騰。より高額な移籍金を提示したACFフィオレンティーナへ移籍します。ガブリエル・バティストゥータとの強力なコンビで攻撃を牽引し、1996年にはコッパ・イタリア、スーペルコッパ・イタリアーナを獲得。7シーズンに渡り、フィオレンティーナの中心選手として活躍しました。

ACミラン

2001年、フィオレンティーナの財政難から、ファティ・テリム監督率いるACミランへ移籍。加入当初は怪我に苦しみましたが、翌シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグ、コッパ・イタリアの2冠に貢献。その後、カカの加入により出場機会は減りましたが、カカの成長を献身的にサポートしました。カカはコスタを「先生」と慕い、その影響力の大きさを語っています。ミラン退団時には、アドリアーノ・ガッリアーニ副会長から「ミラノ市民、そしてイタリア国民は決してコスタの名前を忘れることはないだろう」と惜しまれました。

ベンフィカ復帰と引退

2006年、古巣ベンフィカに復帰。チャンピオンズリーグ予選ではミドルシュートで先制ゴールを決め、本戦出場に貢献。怪我に苦しみながらも、チームを牽引しました。2008年5月、ヴィトーリアFCとの最終戦で引退。「多くのファンとプライドと共にピッチを去る」という言葉を残し、現役生活に幕を閉じました。

ポルトガル代表

1991年、U-20ポルトガル代表としてワールドユースで優勝。ルイス・フィーゴらと共に「黄金世代」の中心選手として活躍します。1993年にA代表デビュー。EURO1996、EURO2000ではベスト8、ベスト4に進出。2002 FIFAワールドカップ、EURO2004にも出場し、EURO2004では準優勝に貢献しました。94試合26得点という記録は、ポルトガル代表歴代4位の出場数、7位の得点数です。

引退後

引退後、ベンフィカのテクニカルディレクターに就任。パブロ・アイマール、ハビエル・サビオラらを獲得し、チームを強化。2009年にはジョルジェ・ジェズス監督を招聘し、5シーズンぶりのリーグ優勝を果たしました。2021年、ベンフィカの会長に就任し、クラブの発展に尽力しています。

プレースタイルと評価

ルイ・コスタは、卓越したテクニック、広い視野、正確無比なパスでゲームをコントロールする、まさに「マエストロ」と呼ぶにふさわしい選手でした。両足から繰り出される正確なシュートも持ち味で、得点能力も兼ね備えていました。その創造性溢れるプレーは、多くのファンを魅了し、サッカー界に多大な影響を与えました。

エピソード

ピッチに入場する際は、憧れの選手だったカルロス・マヌエルを真似て、常に列の最後に並んでいました。
ACミラン時代のチームメイト、アンドリー・シェフチェンコは、コスタを「世界最高のパサー」と評しました。
クリスティアーノ・ロナウドは、子供の頃の憧れの選手としてコスタの名前を挙げています。
2004年には、ペレが選ぶ「FIFA 100」に選出されています。

ルイ・コスタは、その才能と人柄で、多くの人々から愛された偉大なサッカー選手です。彼の残した功績は、これからもサッカー史に輝き続けるでしょう。

もう一度検索