ルイ＝ピエール・ヴィエロット

ルイ＝ピエール・ヴィエイヨ (Louis Pierre Vieillot)

フランスの著名な鳥類学者（1748年5月10日 - 1831年8月24日）。特に北米や西インド諸島における鳥類の分類および記載に多大な貢献をした人物として知られる。

生涯

フランスのイヴトに生まれたヴィエイヨは、若い頃をカリブ海の島々、特にサントドミンゴで過ごし、商業活動に従事した。フランス革命が勃発すると、政情不安からアメリカ合衆国への亡命を余儀なくされる。この亡命期間中に、彼は鳥類への深い関心を抱き、本格的な研究を開始した。アメリカ滞在中に収集した膨大な資料は、後に彼の代表作の一つとなる『北米の鳥の自然史』執筆の礎となった。

1800年頃にフランスへ帰国すると、政府発行の機関紙『法律広報』の記者職を得た。ジャーナリストとしての活動と並行して、彼は精力的に鳥類学の研究を進め、多数の重要な著作を世に送り出した。1802年には『コリブリ、ハチドリ、キリハシ、オナガミツスイの自然誌』を、1805年には熱帯地域の美しい鳥類に焦点を当てた『熱帯地方の美しい小鳥の自然誌』を発表した。これらの著作では、友人の画家ジャン=バティスト・オードベルによる精緻な図版が内容を彩った。

業績と貢献

ヴィエイヨの業績の中で特筆すべきは、多数の新種の鳥類を記載したこと、そして鳥類の分類体系構築に積極的に取り組んだ点である。1816年に発表した『Analyse d'une nouvelle Ornithologie Elementaire』では、独自の分類学的見解を示し、当時の鳥類学界に影響を与えた。

彼は自身の著作に加え、同時代の著名な自然史事典や百科事典にも積極的に寄稿した。特に、広く知られるようになった『新自然史事典』や、ピエール・ジョセフ・ボナテールが編纂した『Tableau encyclopedique et methodique』における彼の貢献は大きい。これらの活動を通じて、彼は多くの鳥類に関する知識を広め、後続の研究者たちに道を開いた。

ヴィエイヨの鳥類学への献身と、その卓越した業績は、今日でも多くの鳥類の学名に彼の名が残されていることからも伺える。例えば、マシコゴシキドリの学名 Lybius vieilloti や、プエルトリコトゲカッコウの学名 Saurothera vieilloti は、彼の名前にちなんで命名されたものである。

主要著作

ヴィエイヨが発表した主な著作には以下のものがある。

『熱帯地方の美しい小鳥の自然誌』(Histoire naturelle des plus beaux oiseaux chanteurs de la zone torride), 1805
『北米の鳥の自然史』(Histoire naturelle des oiseaux de l'Amérique septentrionale), 1807-1808
『Analyse d'une nouvelle ornithologie élémentaire』, 1816
『Mémoire pour servir à l'histoire des oiseaux d'Europe』, 1816
『Ornithologie』, 1818
『フランスの動物誌 または フランスに生息する動物の一般および個別自然史』(Faune française ou Histoire naturelle, générale et particulière des animaux qui se trouvent en France), 1820-1830
『国王の庭園自然史博物館の鳥類図鑑』(La galerie des oiseaux du cabinet d'histoire naturelle du jardin du roi), 1822-1825
『フランスの鳥類学 または フランスの鳥類の一般および個別自然史』(Ornithologie française ou Histoire naturelle, générale et particulière des oiseaux de France), 1830

これらの著作は、当時の鳥類学における重要な文献であり、現在でもその学術的価値は高く評価されている。ヴィエイヨは、自身の広範なフィールドワークと研究に基づき、鳥類学の体系化と発展に不可欠な貢献を果たしたのである。

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