ルキウス・セルギウス・カティリナ

ルキウス・セルギウス・カティリナについて

ルキウス・セルギウス・カティリナ（紀元前108年頃 – 紀元前62年1月）は、共和政ローマ後期の著名な政務官で、その人生は多くの陰謀や政治的な騒動によって彩られています。彼は、ローマの政治シーンで強烈な存在感を持ち、彼を攻撃したキケロの『カティリナ弾劾演説』や、歴史家サッルスティウスの著作『カティリナ戦記』によって、その名は歴史に名を刻んでいます。

経歴と出自

カティリナは高貴な氏族、セルギウス氏族に生まれましたが、若い頃から暴力や犯罪に関与していたことで知られています。彼の家系には特筆すべき執政官はいませんでしたが、サッルスティウス、他の歴史家によれば、彼は古代ローマの著名な高貴階級に属し、平穏無事な生活とは縁がない人物でした。若い頃から数々の悪事に手を染め、高い物欲と分別感のない性格が彼の運命を形作ったのです。

青年期とキャリア

彼のキャリアは、執政官グナエウス・ポンペイウス・ストラボの配下として始まりました。同盟市戦争に参加した後、ルキウス・コルネリウス・スッラのレガトゥスとして反体制派の弾圧に加担しました。この期間に彼は非常に残忍な行為を行い、さらには家族に対しても非情な行動を取ったとも言われています。彼の性格は、信頼や道徳といった概念から最も遠いものでした。

第一の陰謀

カティリナは紀元前66年に執政官選挙に立候補しましたが、その運動は失敗に終わり、そこで彼は別の陰謀を巡らすことになります。彼は貧困層の支持を集めつつ、カエサルやクラッススと共謀し、元老院や他の政治家に対するクーデターを企てました。しかし、その企みは発覚し、彼の計画は潰れました。この時期、彼の行動には明確な目的がありましたが、失敗が続くことで彼は追い詰められていきました。

執政官への野心

再び執政官選挙に挑戦したカティリナは、国の債務帳消しを公約に掲げ、スッラの退役軍人やその他の支持者を集めようとしました。しかし、彼の敵であるキケロが強力なキャンペーンを展開した結果、またしても落選することとなりました。この頃、カティリナは周囲の圧力から逃れられず、失望感に苛まされる日々を送っていました。

第二の陰謀と運命

カティリナは執政官キケロの政権を転覆させるべく、再度陰謀を巡らせました。彼は仲間と共に反乱を計画し、兵を募り始めましたが、その計画が元老院に知られると、危険な状況に追い込まれました。執政官キケロは彼を弾劾し、直接的な攻撃を行った結果、カティリナはローマ市を離れることを余儀なくされます。その後、彼はエトルリアで反乱軍を指揮することとなり、最期には圧倒的な敵の力に向かって突進します。

彼は、逃げることなく最後まで抵抗し続けました。彼の最期の言葉は、彼の潔い心意気を物語っていますが、その一方で彼の凶暴なイメージも強く残っています。サッルスティウスの描写によれば、彼の死は悲劇的なものであり、彼に対する評価は一様ではありません。彼が貴族であったとしても、その行動や思想には疑問が残ります。

後世への影響

カティリナ事件は、その劇的な内容により後の文学や演劇に多大な影響を与えました。ベン・ジョンソンの作品や、ヘンリック・イプセンの初期作などは彼の物語を取り上げ、歴史的背景と個人の内面を浮き彫りにしています。また、この事件が教訓として語り継がれることで、ローマの政治の危うさが強調され、現代においても重要な研究対象となっています。

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