ルクサンドラ・ドラゴミル

ルクサンドラ・ドラゴミル（Ruxandra Dragomir, 1972年10月24日 - ）は、ルーマニア・ピテシュティ出身の元女子プロテニス選手です。1990年代にルーマニアのテニス界を代表する選手として活躍し、グランドスラムでは全仏オープンで好成績を残しました。自己最高ランキングはシングルス15位、ダブルス21位で、WTAツアーではシングルス4勝、ダブルス5勝を挙げています。2001年にフロレント・イリーと結婚し、以降は「ルクサンドラ・ドラゴミル・イリー」と名乗りました。

選手経歴

8歳からテニスを始めたドラゴミルは、1990年にプロに転向しました。ジュニア時代には、1990年の全仏オープン女子ジュニアダブルスで、同じルーマニアのイリナ・スピールリアとペアを組んで優勝を果たしています。1991年からは、女子テニス国別対抗戦・フェドカップのルーマニア代表選手として活躍しました。

1993年の全仏オープンでグランドスラムデビューを飾り、いきなり4回戦に進出。アランチャ・サンチェス・ビカリオとの対戦で敗れましたが、その実力を見せつけました。その後も、ドラゴミルは全仏オープンで1995年まで3年連続で4回戦に進出するなど、同大会を得意としました。

1996年5月には、ハンガリーのブダペスト・オープンでWTAツアー初優勝を飾り、この年は年間3勝を記録しました。同年にはアトランタオリンピックにもルーマニア代表として出場しましたが、シングルス・ダブルスともに1回戦で敗退しました。

1997年は、ドラゴミルにとって最も充実したシーズンとなりました。全豪オープンで初の4回戦進出を果たし、全仏オープンではベスト8に進出。準々決勝ではイバ・マヨリに敗れましたが、これが彼女のグランドスラムにおける自己最高成績となりました。全仏オープンでの8強入り直後には、オランダのロスマレン大会で優勝し、同年8月25日には世界ランキングで自己最高の15位を記録しました。

1998年の全豪オープンでも2年連続で4回戦に進出しましたが、第2シードのリンゼイ・ダベンポートに完敗を喫しました。同年代のライバルであるイリナ・スピールリアが世界ランキング7位にまで躍進する一方で、ドラゴミルはトップ10入りを果たすことはできませんでしたが、スピールリアと共に1990年代後半のルーマニア・テニス界を代表する選手として活躍しました。

1997年6月のロスマレン大会以降、ドラゴミルはシングルスでの優勝から遠ざかりましたが、1999年と2000年には全仏オープンで2年連続4回戦に進出しました。しかし、いずれもマルチナ・ヒンギスに敗れています。2000年にはシドニーオリンピックにも出場しました。

引退後

2001年にフロレント・イリーと結婚し、以降は「ルクサンドラ・ドラゴミル・イリー」と名乗るようになりました。ドラゴミル・イリーは2005年まで現役を続け、最後のグランドスラムは2005年の全豪オープン女子ダブルスでした。モーリーン・ドレーク（カナダ）とペアを組み、2回戦に進出しています。同年の全仏オープン女子ダブルス1回戦では、デニサ・クラドコバ（チェコ）とペアを組みましたが、中国ペアに敗れました。この試合を最後に、32歳で現役を引退しました。フェドカップのルーマニア代表としては、チーム歴代1位となる30勝17敗（シングルス21勝7敗、ダブルス9勝10敗）の記録を残しました。

現役引退後の2006年から2009年まで、ドラゴミル・イリーはフェドカップのルーマニア代表監督を務めました。

ルクサンドラ・ドラゴミルは、ルーマニアのテニス史にその名を刻む名選手として、記憶されることでしょう。

もう一度検索