ルドルフ・レーマン (機械工学技師)

ヘニング・ルドルフ・フェルディナント・レーマン：日本の近代化に貢献したドイツ人技術者・教育者

ヘニング・ルドルフ・フェルディナント・レーマン（Henning Rudolph Ferdinand Lehmann、1842年10月15日 - 1914年2月4日）は、ドイツのオルデンブルク出身の造船技術者であり、機械工学技師でした。彼は、武器商人であるカールの兄でした。

来日まで

レーマンは、高等司法顧問官を務めたアレクサンダー・アドルフ・レーマンの四男としてオルデンブルクに生まれました。カールスルーエ工科大学で土木工学を学び、河川や海洋に関する工業技術、土木工学を専攻しました。その後、ロッテルダム造船所に就職し、技術者としてのキャリアをスタートさせました。

日本での活動

1869年（明治2年）、レーマンは兄カールの経営するレーマン・ハルトマン社の相談役として来日しました。大阪や川口の外国人居留地で、蒸気船建造の指揮を執りました。

1870年（明治3年）には、京都府が角倉邸に新設した「角倉洋学所」に、ドイツ語教師兼建築技師として招かれました。当時の京都府大参事であった槇村正直が、京都府顧問の蘭学者・山本覚馬らの意見を取り入れ、外国人教師による語学教育を行うことを決定したことがきっかけです。角倉洋学所はその後「欧学舎」と改称され、ドイツ学校、英語学校、フランス語学校が開校されました。

1873年（明治6年）には、ドイツ学校に医学予備科が設置され、医学を志す学生にドイツ語を教えることになりました。同年6月には、欧学舎は二条城の北側に新築移転し、「欧学舎独逸学校」と改称されました。レーマンは、1872年と1873年に和訳ドイツ語辞書を出版し、1877年（明治10年）には『和独対訳字林』を校訂しました。これは、日本初の和独辞典とされています。独逸学校は1879年（明治12年）に京都医学校（後の京都府立医科大学）に合併され、廃止されました。

1882年（明治15年）には東京へ移住し、東京外国語学校や東京大学予備門で教鞭を執りました。退職後は、日独貿易に従事しました。

後世への影響

レーマンの教え子たちが1884年（明治17年）に設立した京都私立独逸学校は、後に私立京都薬学校、京都薬学専門学校を経て、現在の京都薬科大学へと発展しました。

また、1885年には、東京に招かれたドイツとスイスのプロテスタント宣教師らの会合に出席しており、ヘルマン・ムテジウスが設計し1897年に完成した麹町の教会や、その後の財団法人東郷坂教会の設立にも関わっていたとされています。

レーマンは日本人女性との間に6人の子供をもうけました。1914年（大正3年）に東京で71歳で亡くなり、雑司ヶ谷霊園に埋葬されました。2004年からは、遺族の同意のもと、京都薬科大学が墓地の管理を行っています。

参考文献

京都薬科大学百年史（京都薬科大学図書館所蔵）P18-22
東京・横浜のドイツ福音教会クロイツキルヒェ『Die dritte Kirche（第三教会）』（ドイツ語）

関連項目

京都薬学専門学校 (旧制) - 京都私立独逸学校、私立京都薬学校についても左の記事を参照
京都薬科大学
お雇い外国人
オーアーゲー・ドイツ東洋文化研究協会

外部リンク

* Gerd Hoffmann: Rudolph Lehmann (1842 - 1914) - ein Lebensbild. OAG-Notizen 9/2006.

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