ルドルフ2世 (オーストリア公)

ルドルフ2世（1270年 - 1290年5月10日）は、ローマ王ルドルフ1世の息子であり、後のローマ王アルブレヒト1世の弟にあたります。彼は短い期間でしたが、オーストリア公およびシュタイアーマルク公の地位を与えられ、兄アルブレヒト1世と名目上の共同統治者として在位しました（1282年 - 1283年）。

生涯

1282年のクリスマス、父ルドルフ1世はルドルフ2世を兄アルブレヒトとともに、オーストリア、シュタイアーマルク、クラインの共同統治者としました。しかし、オーストリアにおける共同統治は前例のない試みであったため、翌1283年6月1日、「ラインフェルデンの契約」が締結され、兄アルブレヒトが単独でこれらの地域を支配することになりました。ルドルフ2世は、この契約に基づき、領土または金銭による補償を受けることになりました。

1289年、ルドルフ2世はボヘミア王オタカル2世の娘であるアグネス（1269年 - 1296年）と結婚しました。二人の間には、息子ヨハンが生まれましたが、ルドルフ2世はヨハンの誕生と前後して間もなく亡くなりました。

ルドルフ2世の死後、彼の息子ヨハンは、1308年に伯父であるアルブレヒト1世を殺害するという事件を起こしました。この行為により、ヨハンは「ヨハン・パリツィーダ（parricida）」、すなわち尊属殺の罪を犯した者として知られるようになりました。ヨハンの犯行の背景には、「ラインフェルデンの契約」において定められた補償が履行されなかったという事情がありました。ルドルフ2世が受け取るはずだった補償が適切に支払われなかったことが、ヨハンのアルブレヒト1世に対する恨みにつながり、最終的に悲劇的な事件を引き起こしたと考えられています。

ルドルフ2世自身は短命でしたが、彼の生涯と、息子ヨハンの事件は、ハプスブルク家の歴史において重要な位置を占めています。特に、「ラインフェルデンの契約」は、その後のハプスブルク家の領土支配のあり方に大きな影響を与えた出来事として、歴史に刻まれています。

ルドルフ2世の生涯は、中世ヨーロッパの政治的駆け引きと、家族間の複雑な関係性を映し出すものであり、歴史研究における興味深い題材を提供しています。

参考文献:
* エーリヒ・ツェルナー 『オーストリア史』 彩流社、2000年

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