ルノー・ウインド

ルノー・ウインド：スタイリッシュな小型クーペカブリオレ

ルノー・ウインドは、フランスの自動車メーカーであるルノー社が2010年から2013年にかけて製造・販売した、小型のクーペカブリオレです。2004年に発表されたコンセプトカー「ウインドコンセプト」をベースに開発され、そのスタイリッシュなデザインと電動開閉式ルーフが特徴的なモデルとして注目を集めました。

トゥインゴをベースとしたスポーティな設計

ウインドの開発には、ルノー社のスポーツ部門であるルノー・スポールが深く関わっており、シャシー、エンジン、サスペンション、シート、ステアリングなど、車両のあらゆる要素において高い性能が追求されています。ベース車両にはルノー・トゥインゴが使用されていますが、ウインドはトゥインゴよりも230mm長い全長3830mm（日本仕様は3835mm）の車体を持ち、専用のエクステリアデザインを採用することで、スポーティで洗練された印象を与えています。エクステリアデザインは、メガーヌトロフィーのデザインも手掛けた日本人デザイナー、鈴木康裕氏によるものです。

2種類のエンジンと電動開閉式ルーフ

ウインドには、100PSの1.2Lターボエンジン（TCE）と、134PSの1.6L自然吸気エンジンの2種類が用意されました。日本仕様は、1.6L自然吸気エンジンに5速マニュアルトランスミッションを組み合わせたモデルのみが導入され、左ハンドル仕様で販売されました。自動変速機は、フランス本国を含め、販売期間を通して設定されませんでした。

ウインドの最大の特徴と言えるのが、電動開閉式ルーフです。リアピラーとリアウインドウを残して天井部分のみが開閉する仕組みとなっており、ルーフは後部を支点に180度回転してリアデッキに格納されます。このシンプルな機構により、ルーフの開閉時間はわずか12秒と、同クラスの車両の中でもトップクラスの速度を実現しています。また、ルーフの開閉状態に関わらず、270Lのラゲッジ容量を確保している点も大きな利点です。

個性的なインテリア

インテリアもウインド独自のデザインが採用されています。ベース車両であるトゥインゴとは異なり、ウインドは3連のアナログメーターを備え、2輪車をイメージした半透明のメーターカウルはオプションで交換可能でした。シートもウインド専用のヘッドレスト一体型バケットシートを採用、シート後部には小物入れが配置されています。オーディオ操作パネルはトゥインゴと共通の傾斜したデザインですが、操作性は良好です。ただし、社外カーナビの取り付けは困難でした。

日本での販売と限定モデル

日本市場では、2011年7月に正式に発売が開始されました。発売に合わせ、ブラックメタル調ハードトップやクロームドアミラー、シートヒーター付き本革シートなどを装備した限定車「コレクション」が30台限定で販売されましたが、発売後すぐに完売しています。2012年には、ルノーのチューニングブランド「ゴルディーニ」を冠した特別仕様車も販売されました。ゴルディーニ仕様車は専用ボディカラーや専用パーツを採用し、スポーティな印象をさらに高めています。日本での販売は2013年5月に終了しました。

まとめ

ルノー・ウインドは、そのスタイリッシュなデザインと優れた走行性能、そして電動開閉式ルーフによる快適性によって、多くのファンを魅了しました。限定車種の設定や、スポーティなゴルディーニ仕様車の存在も、ウインドの魅力を高めていました。販売期間は短かったものの、個性的なクーペカブリオレとして、自動車史にその名を刻んでいます。

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