ルノー・16

ルノー・16 (Renault 16) についての詳細

ルノー・16（R16）は、フランスの自動車製造会社ルノーが1965年から1980年まで生産した中型ファミリーカーです。この車は特に5ドアハッチバックスタイルを採用しており、当時としては珍しいデザインで登場しました。優れた居住空間と多用途性が評価され、1966年には「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。その間に生産された台数は、合計で1,845,959台に達しています。

モデルの展開

ルノー・16の初めてのプロトタイプが公開されたのは1964年8月で、その後12月2日に生産第一号がラインオフされました。1965年の4月から市販が始まり、最初の2つのモデル、GL（Grand Luxe）とシュペール（Super）が登場しました。エンジンは1,470ccで55馬力の出力を誇ります。

1967年モデルでは、ヒーターやベンチレーターが改良され、自動式のチョークが導入されました。次の年1968年には新たに16TSモデルが加わり、1,565ccのツインバレルキャブエンジンを搭載し、85馬力を出力しました。このモデルにはタコメーターや水温計、パワーウインドウなどがオプションで装備可能になり、より充実した機能が提供されました。

1969年には、TS以外のモデルでもブレーキとホイールが共通化され、テールランプには後退灯が追加されました。また、オートマチックの16TAモデルも新たにラインアップに加わり、利便性が向上しました。

1970年には全モデルに前席シートベルトが標準装備されることになり、1971年にはマイナーチェンジが実施されました。この改良では、GLとシュペールがL・TLに改称され、排気量が1,565ccに増加しました。さらに、1973年にはトップモデル16TXが追加され、エンジンは1647ccに拡張され、5速マニュアルギアボックスなどの先進装備が充実しました。

その後のモデル展開では1974年からフロントグリルがプラスティック製に変更され、1976年にはオートマチック装置がTLモデルのみに制限されました。1977年にはLとTSが生産を終了し、TLとTXの2つに集約されました。1980年1月にはルノー・16の生産が終了しました。

日本での流通

ルノー・16は日本でも注目され、1965年の東京オートショーで16GLが発表されました。輸入はフランス系のタバカレラ・インターナショナルによって開始され、その後の販売は日本交通系の日英自動車が担当しました。しかし、1973年には日本の厳しい安全・環境基準に適合できなくなったため、その後の輸入は終了しました。自動車評論家の大川悠は、ルノー・16の中古車を乗り継ぎ、そのパフォーマンスや多用途性、乗り心地を高く評価しています。

結論

ルノー・16は、そのデザインと技術、居住性において多くの支持を集めた名車であり、今なおコレクターなどから高い人気を誇ります。特に家庭用車としての実用性が特徴で、日常の移動手段として非常に適していました。このような背景を持つルノー・16は、フランス車の象徴とも言える存在です。

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