ハッチバック

ハッチバックとは

ハッチバックは、自動車の特定のタイプで、後ろに跳ね上がるドア、通称バックドアを特色としています。このスタイルは、実用性に優れているため、多くのユーザーに選ばれています。その名の由来は、船のハッチ（扉）に形状が似ていることに由来しています。ハッチバックのバックドアは、機能やデザインに応じて多様な角度が存在し、時にはリアウインドウのみが開く「ガラスハッチ」も見られます。

このような形状の車は、ボンネットバンやミニバン、SUV、トールワゴンなど、さまざまな車種に広がっていますが、「ハッチバック」という用語は通常、セダンやクーペに比べて全高が低い車両を指します。バックドア部分を拡張することで荷室を広く取ることができ、これを「ステーションワゴン」と呼びますが、その境界は曖昧です。また、リアウィンドウやCピラーの傾斜が強いデザインは「ファストバック」に分類されます。

バリエーションとしては、2枚ドアにバックドアを加えた3ドアハッチバックや、4枚ドアにバックドアを加えた5ドアハッチバックがあります。ノッチバック（トランク付き車）と比較して、ハッチバックのメリットは大容量の荷物を積むことができ、小回りが効く点が挙げられます。ただし、デメリットとしては、バックドアを開く際に後ろに一定のスペースが必要で、強度や空気抵抗、静音性において劣る場合があります。

ハッチバックは、一般的な乗用車と異なり、商用バンと同様の設計が施されており、荷室と運転席が分かれていない構造を採用していることが多く、リアシートを折りたたむことで、より大きな荷物を積載することができます。特にフランス車の高級モデルには、快適な使い勝手のために、外部の騒音を防ぐウインドウ機能が備わったものもあります。

1980年代以降、ハッチバックは特にファミリーカーとしての人気が高まり、高い実用性とスタイリッシュなデザインが求められるようになりました。「ホットハッチ」と呼ばれる高性能モデルも登場し、運転の楽しさを追求しています。これにより、ファミリー向けとは異なるスポーティな側面も持つようになりました。

ハッチバックの分類

狭義には、2ボックス型で全高が1550mm未満の大衆車がハッチバックとされますが、広義にはノッチバックやファストバックなど、さまざまなボディスタイルを含むこともあります。日本では、1550mmを超える車両はトールワゴンと呼ばれ、ハッチバックとは一線を画します。

高価格帯のセダンにおいては、ハッチバック化されることは少なく、このため高級車ではエントリーモデルでのハッチバックが一般的です。自動車メーカーは、機能性を強調する際には「ハッチバック」を前面に押し出しますが、高級感を重視すると名を控えることがあります。

ハッチバックの進化の歴史

ハッチバックの元祖は1961年のルノー4（キャトル）であり、そのデザインの基盤は1938年のシトロエン・トラクシオン・アバンにまでさかのぼります。初代フォルクスワーゲン・ゴルフの成功を受けて、ハッチバックスタイルは世界中に広まり、日本でも1966年にトヨタ・コロナの5ドア版が登場しましたが、当時は認知度が低かったため、一般的な家庭用車とは考えられませんでした。1970年代半ば以降、ホンダ・シビックやトヨタ・カローラなどが登場し、普及が進みます。

ハッチバックは、どの時代でも重視されてきた用途に応じたデザインが求められ、その進化は続いています。現在では、コンパクトカーや軽自動車において、最もポピュラーなスタイルとされ、高い実用性と運転の楽しさを提供しています。

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