ルノー・18

ルノー・18（ディズユイット）

ルノー・18は、フランスの自動車メーカーであるルノーが1978年から1989年にわたり生産した乗用車です。フランス語での読み方は「ディズユイット」となります。

概要

1978年の春に市場へ投入されたルノー・18は、ルノー12の後継モデルとして位置づけられる中型の前輪駆動（FF）車として開発されました。ルノー12も1980年まで併売され、並行して販売される期間がありました。また、1980年に発表されたルノー・フエゴは、このルノー・18をベースとした3ドアクーペモデルでした。

デビュー当初のボディタイプは4ドアセダンのみでしたが、翌年の1979年には「ブレーク」と呼ばれる5ドアステーションワゴンがラインナップに追加されました。そのデザインは、当時のフランス車にありがちな個性が強く出たものではなく、比較的オーソドックスで万人受けするスタイルと評されました。

メカニズムとバリエーション

車体構造やメカニズムは、ルノーの既存モデルで培われた技術を組み合わせ、特にルノー12のプラットフォームを基盤として発展させたものでした。エンジンは直列4気筒がフロントオーバーハングに縦置きされたレイアウトを採用しています。

初期に搭載されたOHVエンジンは、1.4リットル（1,397cc、最高出力64PS）と1.6リットル（1,647cc、最高出力79PS）の2種類が設定されました。1.4リットルエンジンはルノー12の1,289ccユニットを拡大したもので、1.6リットルエンジンはルノー16や20で使われたものを、ルノー18向けに出力を抑えて搭載したものでした。

ホイールベースはルノー12と同じ2,441mmでした。サスペンション形式も12と基本的には共通ですが、前輪にはルノー20から流用されたダブルウィッシュボーン式、後輪にはルノー12と同様の3リンクリジッドアクスル式が採用されています。

生産期間中には多様なモデルが追加されました。1980年には2.1リットル（2,068cc）のディーゼルエンジン仕様が登場。続いて同年には、ルノーの市販車としてはミッドシップの5ターボに次ぐ第2弾となる高性能なターボモデルが加わりました。このターボエンジンは、ベースとなる1.6リットルエンジン（1,647cc）の排気量を1,565ccに縮小し、ギャレット製のターボチャージャーと空冷式インタークーラーにより過給することで、最高出力110PSを発揮しました。

さらに、1983年にはブレークにパートタイム式の4輪駆動モデルが設定され、機能性を高めたバリエーションも追加されています。

生産終了と北米市場

ルノー・18のフランス国内での生産は、モーブージュ工場で1989年に終了しました。その役割は、後継モデルであるルノー・21に引き継がれました。

フランス本国以外にも、ルノーはアメリカン・モーターズ（AMC）との提携を通じて北米市場にもルノー・18を投入しました。1981年モデルイヤーから販売が始まり、セダンは「18i」、ワゴンは「18i Sportswagon」として展開されました。北米仕様車は、1.6リットルの燃料噴射式エンジンを搭載し、外観上は大型の5マイルバンパーを備え、角型2灯式のヘッドライトがグリル面より奥まって装着されるなど、現地の法規や好みに合わせた特徴を持っていました。北米市場では、セダンは1983年モデル限りでラインナップから外れ、以降は単に「Sportswagon」と改称されたワゴンのみが販売されました。そして、1987年モデルイヤーの初めに、ルノー21の北米仕様である「メダリオン」に置き換えられる形で販売を終えました。

ルノー・18は、ルノー12で培われた技術を基盤としつつ、ディーゼル、ターボ、4WDといった先進的なバリエーションを展開することで、ルノーの中型FFモデルとして一時代を築いたモデルと言えるでしょう。

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