アメリカン・モーターズ

アメリカン・モーターズ・コーポレーション (AMC)

アメリカン・モーターズ・コーポレーション（AMC）は、1954年から1987年の間、米国で活躍していた自動車メーカーです。この企業は、従来の大手自動車メーカーとは異なるコンセプトを持つコンパクトカーに特化し、自らのブランドの魅力を形成していきました。AMCは、合併や買収を経ながら、独自の製品ラインを展開したつながりで、特に「ビッグスリー」と呼ばれる他のメーカーと一線を画す存在でした。

成り立ちと歴史

AMCは、1954年にナッシュ＝ケルビネーター・コーポレーションとハドソン・モーター・カー・カンパニーの合併により設立されました。この新しい会社は、次第に特有の車両開発を進めていきました。1968年には、家電のケルビネーター部門を売却し、その後の1970年にはジープの製造元であるカイザー＝ジープ社を買収することで、オフロード車の分野にも参入します。

1979年にはフランスのルノーの資本参加を受け、AMCの成長を促進しましたが、その後1982年には米国国防省の意向により軍用車部門を分離し、AMゼネラルとして独立しました。このAMゼネラルは後にハマーの製造元として知られるようになります。1987年にはクライスラー社に買収され、AMCの乗用車部門は「イーグル」として継続されましたが、最終的には1998年に消滅しました。一方、ジープブランドはクライスラーの重要な基幹ブランドとして残りました。

主なモデル

AMCは数多くの魅力的なモデルを生み出しました。その中でも特に人気があったのは、ジープ・ワゴニアです。この車両は、1963年から販売され、1980年代にはSUV化したモデルが後継として登場しました。ジープ・ワゴニアは、世界初の自動変速機付き四輪駆動車として、その革新的な技術が多くの後発車両に影響を与えました。

さらに、特に注目すべきモデルにはホーネットやグレムリンがありました。ホーネットは精悍なスタイルのセダンやワゴンとして人気を博し、グレムリンはユニークなデザインで多くのファンに愛されました。ペーサーはその斬新なデザインで特異な存在感を放ち、日本では「金魚鉢」という愛称で親しまれました。

また、AMCは小型車の分野でも力を入れ、アライアンスやアンコールなど小型車モデルを展開しました。これらのモデルは、ルノーの技術を活かしたもので、アメリカ市場でも受け入れられました。特にアライアンスは、1970年代の特需の中で小型車市場において競争力を持ちました。

まとめ

AMCの歴史は風変わりな自動車メーカーとしての道のりでした。様々な買収を経て多様なモデルを展開し、特にコンパクトカーの普及に寄与しました。最終的にはクライスラーに買収され、その後もジープブランドとして存続しましたが、AMC時代の製品群は現在でも多くの自動車愛好者に評価されています。

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