ルノー・19

ルノー・19：フランスが生んだ名車

ルノー・19（Renault 19、R19）は、フランスの自動車メーカー、ルノー社が1988年から1995年にかけて生産した小型乗用車です。同社の9、11の後継モデルとして登場し、イタリアの巨匠、ジウジアーロによる洗練されたデザインが特徴でした。モデル名はフランス語で「ディズヌフ」と発音されます。

多様なボディバリエーションとパワートレイン

ルノー・19は、3ドアと5ドアのハッチバックが基本モデルとしてラインナップされました。さらに、4ドアセダンの「シャマド」（日本では商標の関係で使用されず）、そしてドイツのカロッツェリア、カルマン社が手がけた2ドアカブリオレも存在しました。ボディスタイルの豊富さが、ユーザーの多様なニーズに対応できたと言えるでしょう。

搭載エンジンは、直列4気筒横置きのガソリンエンジンとディーゼルエンジンが用意されていました。ガソリンエンジンは排気量1.2L、1.4L、1.7L、1.8Lと幅広く、OHVからSOHC、そしてルノー初となるDOHC 1.8L 16バルブエンジン「16s」も設定されていました。ディーゼルエンジンは1.9Lで、自然吸気とターボの2種類が選べました。この多様なパワートレインは、ドライバーの好みに合わせた選択を可能にしていました。

1992年のマイナーチェンジ：進化したルノー・19

1992年5月にはマイナーチェンジを行い、「フェイズ2」として生まれ変わりました。フロントグリルを含むフロントフェイス、リアのデザインを一新し、より力強い印象となりました。内装も変更され、ダッシュボードのデザインが改良され、メーターの色がオレンジからホワイトに変更されました。また、高級感を高めるレザーシートやアルミホイールを標準装備した最上級グレード「バカラ」も追加されました。このマイナーチェンジは、品質向上にも貢献し、販売好調へと繋がりました。ルノーは、このモデルで初めてフォルクスワーゲン・ゴルフなどライバル車種に対抗できるだけの競争力を持つに至りました。1993年にはフランス本国仕様車のヘッドライトレンズがイエローからホワイトに変更されました。

世界的な評価と日本市場

ルノー・19は、高い評価を受けました。1989年にはスペインとドイツで「カーオブザイヤー」を受賞し、1989年から1990年にはドイツ国内の輸入車販売でNo.1を獲得しています。さらに、1993年にはアルゼンチンでも「カーオブザイヤー」を受賞するなど、国際的な成功を収めました。

日本市場においては、前期型がジャクス・カーセールスによって輸入され、後期型はフランス・モーターズが輸入を計画していましたが、メガーヌへの交代により実現しませんでした。しかし、並行輸入車として一部モデルが日本に上陸しています。

生産終了とその後

1995年にフランス本国での生産は終了し、後継車であるルノー・メガーヌへとバトンタッチしました。しかし、トルコやアルゼンチンなどでは1999年頃まで生産が続けられました。ルノー・19は、ルノーの歴史において重要なモデルであり、その存在感は現在も色褪せることがありません。

主要諸元（例）

※その他諸元は、モデル、年式、地域によって異なります。

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