ルパン三世 燃えよ斬鉄剣

ルパン三世 燃えよ斬鉄剣：視聴率No.1を記録した、山田康雄さんの遺作となったTVスペシャル

1994年7月29日、日本テレビ系の金曜ロードショーで放送された『ルパン三世 燃えよ斬鉄剣』は、シリーズの中でも特に高い人気を誇るTVスペシャルです。視聴率は驚異の24.9％を記録し、これはTVスペシャルシリーズの歴代最高記録として現在もなお破られていません。

斬鉄剣を狙う忍者、そして祖父アルセーヌ・ルパンの未遂事件

本作は、ルパン三世の祖父であるアルセーヌ・ルパンが唯一盗むことができなかったという伝説の「竜の置物」を巡る物語です。東京での歌舞伎鑑賞中、石川五ェ門は斬鉄剣を狙う謎の忍者集団に襲われます。ルパンと次元も加わり、激しい戦闘と逃走劇が繰り広げられます。

五ェ門は、ルパンからの更なる協力を拒否し、独自に調査を開始します。一方、ルパンは香港マフィアのボス、陳珍忠が自分たちの行動を監視していることに気づきます。豪華客船での仮装パーティに潜入したルパンと次元は、陳から驚くべき話を聞かされます。それは、沈没船タイタニック号に眠る「竜の置物」の存在、そして、それがアルセーヌ・ルパンも狙ったものの盗むことができなかった秘宝であるという事実です。

五ェ門の過去と、竜の置物の秘密

五ェ門は、山奥で先祖伝来の巻物を発見します。再び忍者集団の襲撃を受けますが、かつて修行時代の妹のように慕っていた女忍者・桔梗に助けられます。

ルパンは深海探査用の潜水艦でタイタニック号に潜入し、竜の置物を発見。しかし、陳や銭形警部だけでなく、五ェ門もまた、置物を手に入れようとルパンに立ち向かいます。一時は陳が置物を手に入れるものの、ルパンはそれを奪還しようと陳の邸宅に潜入します。

そこで明らかになるのは、竜の置物の驚くべき正体です。それは、斬鉄剣よりも硬い合金で造られた形状記憶合金であり、その製法が巻物に記されているというのです。陳の真の目的は、この合金を用いて最強の兵器を開発することでした。

黒幕の陰謀と、壮絶なクライマックス

桔梗は、実は今回の黒幕であり、陳に合金の存在を教えた張本人でした。彼女は五ェ門を裏切り、竜の置物と不二子を手に入れてホテルを爆破し姿を消します。

陳は合金の製法を解読し、最強のステルス爆撃機を完成させます。ルパンたちは陳の施設に潜入しますが、捕らえられ、錯乱ガスが充満した密室に閉じ込められます。脱出したルパンは施設を爆破し、ニューヨークを爆撃しようとする陳を追ってアメリカへと向かいます。

ニューヨーク上空で、ルパン一味と陳の最終決戦が繰り広げられます。五ェ門は、斬鉄剣でステルス爆撃機を切り裂こうとします。激しい空中戦の後、五ェ門の執念が実り、爆撃機は撃墜されます。

山田康雄さんの遺作

本作は、ルパン三世役の山田康雄さんにとって、事実上の遺作となりました。前年のTVスペシャル『ルパン三世 ルパン暗殺指令』の時点で体調を崩していた山田さんは、本作でも椅子に座って収録を行っていました。スタッフは、その様子から山田さんの健康状態を危惧していたといいます。翌1995年に山田さんが逝去したため、その予感は現実のものとなりました。

『ルパン三世 燃えよ斬鉄剣』は、高い視聴率と、山田康雄さんの最後の雄姿を記録した、ルパン三世シリーズの中でも特別な作品として記憶されています。キャラクターデザインはTV第1シリーズに近いものとなっており、須藤昌朋氏による独特の作風は、後のTVスペシャル作品にも受け継がれています。

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