ルパン三世 princess of the breeze 〜隠された空中都市〜

ルパン三世 princess of the breeze 〜隠された空中都市〜：詳細解説

『ルパン三世 princess of the breeze 〜隠された空中都市〜』は、モンキー・パンチ原作のTVスペシャルシリーズ第24作として、2013年11月15日に日本テレビ系列で放送されました。12.8%という高い視聴率を獲得し、その後も幾度となく再放送されています。

物語の概要

長きに渡り鎖国を続けてきた高地の共和国「シャハルタ共和国」の秘宝をめぐり、ルパン一味と、シャハルタの実権を握る巨大グローバル企業との戦いが繰り広げられます。ストーリー上、多くの飛行船が登場しますが、そのほとんどがCGで描かれており、ルパンシリーズではおなじみのカーチェイスシーンも初めてCGによって表現されました。

アニメーションとキャラクターデザイン

キャラクターデザインは加々美高浩が担当。TV第1シリーズを彷彿とさせるデザインではありますが、特にルパンのデザインは大きく変更され、放送前からTwitterを中心に大きな話題となりました。加々美は総作画監督も務めていますが、実際には作画作業にはほとんど関与できなかったとされています。

前作までのTVスペシャルとは異なり、本作ではルパンの衣装が青ジャケットに変更されています。これは、前年に放送されたTVスペシャル『ルパン三世 イタリアン・ゲーム』がTV第4シリーズをベースとしていたことと関係があります。その後、赤ジャケットは2019年放送のTVスペシャル『ルパン三世 グッバイ・パートナー』で復活しています。

また、本作には、ルパン役の栗田貫一さんの妻である大沢さやかさんと長女が親子役で特別出演しています。さらに、長年シリーズの音楽監督を務めてきた鈴木清司さんは、本作を最後にシリーズを降板されました。

ストーリーの詳細

物語は、アムステルダム上空で開かれた「シャハルタ共和国開国記念レセプションパーティー」から始まります。ルパンは、そこで展示されている水晶を狙ってパーティーに潜入しますが、空賊たちと衝突。女性空賊ユティカと宝の入ったバッグを奪い合い、誤って彼女の胸に触れてしまい、平手打ちされて飛行船から落下してしまいます。

しかし、バッグの中身は赤ん坊のラームと空のケースでした。ルパン一世の遺した記録を頼りに、真の宝を求めてルパンはラームを連れてヨーロッパ各地の博物館を襲撃し始めます。

一方、シャハルタ共和国の総理大臣シオンと、ヘリウムガスを独占する多国籍企業の重役コーシャルは、ルパンを誘拐犯として銭形警部に逮捕を依頼します。銭形はルパンの行動に不審を抱きながら捜査を開始します。

ルパンはユティカにラームを奪われ、さらに痴漢として仕立て上げられます。その後、ルパンはユティカから、ラームが空賊団の亡くなった仲間の遺児であること、そして空賊たちが水晶とともにシャハルタの「魂」を取り戻そうとしていることを知ります。「魂」とは、コーシャルによって奪われた王家の秘宝のことでした。

コーシャルの襲撃を受け、空賊団のリーダー、ジーヴァと妻のカーミラはアジトを自爆させます。ルパンたちは残されたユティカを励まし、シャハルタへ向かいます。

シャハルタの城では、ルパンはヘリウム抽出技術を狙って潜入していた不二子と遭遇します。ユティカは、自分そっくりのラーシャと出会います。2人は一卵性双生児の姉妹であり、前シャハルタ王の遺児でした。

コーシャルに捕らえられたユティカを救うため、ルパンは宝の在り処を示す地図を渡しますが、シオンに撃たれて重傷を負います。銭形はルパンたちを一時的に見逃します。

ユティカはルパンを救い、不二子はコーシャルに捕らえられ洗脳されてしまいますが、仲間たちの活躍で正気を取り戻します。最終的に彼らはシャハルタの宝物庫を発見します。宝物庫は、巨大な風船で浮遊する椀型の構造をしており、シャハルタの高度な航空技術の結晶でした。

コーシャルとシオンは対立し、コーシャルは銭形に逮捕されます。宝物庫は、シオンの遺体と共に湖底に沈みます。ルパンは、祖父の遺した手記に記されたコルク抜きが真の宝だったことに気づき、銭形とのいつもの追いかけっこを始めるのでした。

登場人物

本作では、ルパン三世、次元大介、石川五ェ門、峰不二子、銭形警部といったお馴染みのキャラクターに加え、多くのゲストキャラクターが登場します。特に、空賊団のユティカとラーシャ、シャハルタ共和国の総理大臣シオン、多国籍企業の重役コーシャル、そして空賊団のリーダー、ジーヴァとその妻カーミラなどは、物語を大きく動かす重要な役割を果たしています。それぞれのキャラクターの背景や動機、そして彼らが織りなす人間模様は、本作の見どころの一つです。

スタッフと主題歌

監督・絵コンテは金﨑貴臣、脚本は待田堂子、森田繁、日高勝郎が担当しました。その他、豪華なスタッフ陣が作品を支えています。オープニングテーマは「THEME FROM LUPIN III [2013 cool ver.]」、エンディングテーマは「Treasures of Time [炎のたからもの]」です。

まとめ

『ルパン三世 princess of the breeze 〜隠された空中都市〜』は、CG技術を駆使した映像表現、魅力的なゲストキャラクター、そしてスリリングなストーリー展開が魅力の作品です。ルパンシリーズの中でも、特に記憶に残る一作と言えるでしょう。

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