ルパン三世主題歌3

ルパン三世主題歌3：謎に包まれたオープニングテーマの全貌

『ルパン三世』TV第1シリーズ(全23話)は、3度に渡ってオープニングテーマが変更されました。「ルパン三世主題歌3」はその最終章、第16話から最終話まで使用された楽曲です。大人向けに制作された第1シリーズでしたが、視聴率低迷により、対象年齢をやや引き下げた路線変更が行われ、この主題歌はその転換期を象徴する存在となりました。

未発売のまま放送された主題歌

驚くべきことに、「ルパン三世主題歌3」は放送当時、レコードとして発売されていませんでした。一般的に広く知られる機会もなく、その存在は長らく謎に包まれていました。楽曲の存在が明らかになったのは、放送終了後の1980年。日本コロムビアから発売されたLPレコード『TVオリジナル・サウンドトラック ルパン三世 ドラマ編』に、第15話と第21話の音源の一部として収録されたことが、事実上の初出となりました。

存在する3つのバージョンとマスターテープの行方

現在確認されている「ルパン三世主題歌3」の音源は3種類存在します。しかし、オリジナルのマスターテープは全て紛失しており、当時のオリジナル音源を聴くことは不可能です。第1シリーズの楽曲は、初期オープニング「ルパン三世主題歌I」とエンディング「ルパン三世主題歌II」以外、オリジナル音源の現存が確認されていません。そのため、他にも未使用バージョンが存在する可能性は否定も肯定もできない状況です。

ここでは便宜上、3種類の音源を「第1バージョン」「第2バージョン」「第3バージョン」と分類して説明します。

第1バージョン: オープニングで使用されたバージョン。特徴的な巻き舌で歌われています。現在発売されているCDや映像ソフトに収録されているのはこのバージョンです。
第2バージョン: 第16話のオープニングで使用され、巻き舌でない点が第1バージョンと異なります。本放送時や1980年頃までの再放送で使用されたと推測されます。銭形警部のナレーションが被さるのも特徴です。第12話と第19話の劇中にも使用されています。
* 第3バージョン: 2番と思われる歌詞を含むフルバージョン。巻き舌ですが、第1バージョンとは歌い方がやや異なります。第19話の劇中でのみ使用されました。

曲名とボーカリストの謎

放送当時、この歌はレコード化もクレジット表示もなく、曲名すら未定でした。「ルパン三世主題歌3」という正式名称がついたのは、後年のJASRAC登録時です。また、ローマ数字ではなくアラビア数字で番号が振られている理由も不明です。

さらに大きな謎はボーカリストです。長らくチャーリー・コーセイという歌手が歌っていると思われており、JASRACにもその名前で登録されていました。しかし、『映画秘宝』誌2001年7月号の企画で、真のボーカリストが日本初の本格的ラテンシンガー、よしろう・広石（現：YOSHIRO 広石）であることが判明しました。作曲を担当した山下毅雄氏は、チャーリー・コーセイがフィリピンに帰国し連絡が取れないと誤解し、六本木のスタジオで歌っていた広石を起用したと語っています。広石自身は、1971年当時、病気療養のため中南米から日本に帰国していたとインタビューで答えています。2021年には、約半世紀ぶりにこの曲を再レコーディングしています。

カバー作品

「ルパン三世主題歌3」は、多くのアーティストにカバーされています。代表的な例として、Concerto Moon（1999年）、THE COLTS（2003年）によるカバーがあります。これらのカバー作品を通じて、この隠れた名曲は、新たな世代へと受け継がれていきました。

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