ルビーロマン

ルビーロマン：石川県が誇る高級ブドウ

ルビーロマンは、石川県が開発した赤色の大粒ブドウです。その鮮やかな色合いと、一粒一粒の大きさ、そして卓越した甘さが特徴で、高級ブドウとして知られています。石川県が地域ブランドとして戦略的に育成しており、厳しい品質基準をクリアしたものが市場に出回ります。

開発の背景

石川県は、能登地方から加賀地方にかけて砂浜海岸が広がっており、砂丘地での農業が盛んです。スイカ、ダイコン、カキ、ブドウなどが特産品として栽培されています。しかし、温暖な気候が災いし、大粒ブドウは果粒の破裂や着色不良が起こりやすいという問題を抱えていました。

そこで、消費者のニーズに応えるべく、石川県は品質と栽培性に優れた赤色大粒品種の開発に着手しました。石川県農業総合研究センター砂丘地農業試験場において、「藤みのり」の自然交雑種子から選抜育種が行われ、試行錯誤の末に「ブドウ石川1号」が誕生しました。

品種の特徴

「ブドウ石川1号」として選抜されたこの品種は、平均21.6gという大粒で、果皮は鮮やかな赤色をしています。果肉は柔らかく、糖度は20%前後と高く、酸味が少ないのが特徴です。栽培方法によって収穫時期を調整できることも魅力で、雨よけ施設栽培では8月下旬から9月中旬、密閉施設栽培では8月の旧盆前後に収穫が可能です。

2004年に「ルビーロマン」と命名され、石川県の戦略作物として地域ブランド化が進められることになりました。

地域ブランドとしての取り組み

ルビーロマンは、石川県が苗木の流出を防ぐための対策を講じたり、ブランド食材プロデューサーを起用するなど、ブランド価値を高めるための様々な取り組みを行っています。出荷基準も厳格に定められており、房の重さ、一粒当たりの重さ、糖度、色などが基準を満たしている必要があります。規格外品は販売することができません。

品質を保証するために、出荷箱には生産地と生産者が記入されたシールが貼られ、房には基準に合格したことを示す認証シールが貼られています。さらに、品質検査を行ったJAの検査員名の印が押された認証タグが取り付けられます。

厳しい品質管理体制のもと、ルビーロマンは高級ブドウとしての地位を確立しました。初競りでは非常に高値で取引され、2022年には一房150万円という最高値を記録しました。

海外での栽培と品種登録の問題

ルビーロマンは日本国外での品種登録を行っていません。しかし、近年、韓国においてルビーロマンと酷似したブドウが販売されていることが判明しました。遺伝子検査の結果、そのブドウとルビーロマンの遺伝子が一致したため、石川県は法的措置を取り、韓国国内の種苗会社が取得していた「ルビーロマン」の登録商標を無効化しました。

現在、海外への不正な持ち出しを防ぐため、種苗法に基づき海外持ち出しが禁止されています。

まとめ

ルビーロマンは、石川県のたゆまぬ努力と厳しい品質管理によって生まれた、まさに「赤い宝石」と呼ぶにふさわしい高級ブドウです。その美しい外観と卓越した味わいは、多くの人々を魅了し続けています。しかし、海外での不正な栽培や品種登録の問題など、課題も抱えています。今後も、石川県が中心となり、ブランド価値を守りながら、ルビーロマンの魅力を世界に発信していくことが期待されます。

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