ルフィーノ・タマヨ

ルフィーノ・タマヨ：メキシコの魂を色彩で描いた画家

ルフィーノ・デル・カルメン・アレジャネス・タマヨ（Rufino del Carmen Arellanes Tamayo, 1899年8月26日 - 1991年6月24日）は、メキシコを代表する画家の一人です。彼は、故郷オアハカの先住民サポテクの血を引いており、その文化的な背景が彼の芸術に大きな影響を与えました。

生涯

タマヨは、オアハカ・デ・フアレスで生まれ、幼少期にメキシコシティに移り住みました。1917年に国立造形芸術学校に入学し、印象派、キュビスム、フォービズムといったヨーロッパの美術様式を学びました。しかし、メキシコ革命の激動期において、タマヨは政治運動とは距離を置き、自身の芸術活動に専念しました。彼は、ディエゴ・リベラなどの同時代の画家とは異なり、メキシコの伝統を重んじながらも、ヨーロッパの美術様式を柔軟に取り入れた独自のスタイルを確立しました。

1926年にニューヨークに渡り、その後メキシコに戻ると、その才能は新聞や雑誌で高く評価されました。彼はミクソグラフィアという独自の版画技法にも取り組みました。1937年から1949年まで再びニューヨークで創作活動を行い、アメリカでもその名を知られるようになりました。その後、パリに10年間滞在し、1959年にメキシコに戻り、生涯を故郷で過ごしました。1979年には、故郷オアハカに「ルフィーノ・タマヨ美術館」が開館し、彼の功績を称えています。

作風と評価

タマヨの作風は、メキシコの伝統文化とヨーロッパのフォービズムなどの美術様式を融合させた独特なものです。彼の絵画は、写実的な表現ではなく、色彩豊かで抽象的な要素が強く、見る者に強い印象を与えます。彼の作品は、国際的にも高く評価されており、2007年には「三人の人物」が100万ドル以上で落札されるなど、美術市場でも高い人気を誇っています。

日本におけるルフィーノ・タマヨ

日本でもタマヨの作品はよく知られており、1993年にはNHKの番組「日曜美術館」で「ルフィーノ・タマヨ～メキシコの魂を謳う～」が放送されました。また、名古屋市美術館には「夜の踊り子たち」や「苦悶する人」など、東京国立近代美術館には「縞模様の人物」など、彼の作品が所蔵されています。

代表作

三人の人物 (Tres Personajes)
男と女 (Man and Woman)（1972年）
パイプを吸う人 (Hombre con Pipa)（1979年）
棒を持つ人 (Hombre con Baston)（1980年）
二人の兄弟 (Dos Hermanos)（1987年）
赤い人物 (Figura en Rojo)（1989年）

日本の美術館所蔵作品

黒人の仮面 (1939年: 名古屋市美術館)
夜の踊り子たち (1948年: 名古屋市美術館)
苦悶する人 (1948年: 名古屋市美術館)
縞模様の人物 (1975年: 東京国立近代美術館)

ルフィーノ・タマヨは、メキシコ美術の巨匠として、その作品は今もなお多くの人々を魅了し続けています。彼の独特な色彩感覚と、伝統と革新が融合した作風は、現代美術においても重要な位置を占めています。

外部リンク

Rufino Tamayo - Adami Gallery（英語）
Rufino Tamayo - The Art Institute of Chicago（英語）
* Dos Hermanos - Rufino Tamayo - Adami Gallery

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