ル・ディヴァン・デュ・モンド

ル・ディヴァン・デュ・モンド：歴史と文化が交差するパリのコンサートスペース

ル・ディヴァン・デュ・モンドは、パリ18区、芸術と歓楽街として知られるピガール地区に位置するコンサートスペースです。その名前「世界の長椅子」は、かつて東洋風の長椅子が置かれ、人々が集い語り合った場所に由来します。19世紀初頭から様々な歴史を経て、現在の姿へと変貌を遂げてきました。

多彩な歴史の変遷

この場所の起源は、19世紀初頭の舞踏室、ラ・ミュゼット・ド・サン＝フルールに遡ります。1861年には、ラ・ブラッスリー・デ・マルティールとして改装され、ボードレールやジュール・ヴァレスといった著名な文化人が集う場所となりました。1873年には、カフェ・コンセールへと姿を変え、オーナーのテオフィル・ルフォールによってル・ディヴァン・ジャポネと名付けられます。内装も日本風に飾られ、異国情緒あふれる空間として人気を博しました。

その後、ジュール・サラザンが店を受け継ぎ、地下に「善きユーモアの殿堂」という新たな空間を設けました。キャバレー歌手のイヴェット・ギルベールが1891年に出演し、ドラネムも常連として舞台に立つなど、多くのアーティストがこの場所で活躍しました。

1894年には、無言劇『Le Coucher de la Mariée（花嫁の眠り）』が上演され、初めて「裸」の女性が登場したことで大きな話題を呼びました。この頃から、ロートレックやウィレット、ピカソといった芸術家たちが頻繁に訪れるようになります。

20世紀に入ると、1901年にテアトル・ド・ラ・コメディ・モンディーンへと変わり、その後はエロティックなショーの劇場として運営される時期もありました。

ワールドミュージックの発信地、そして現代へ

1994年、ル・ディヴァン・デュ・モンドは再オープンを果たし、特にワールドミュージックのコンサート会場として新たなスタートを切ります。2009年には大規模な改装が行われ、コンサートだけでなく、クラブイベントなど、多様なイベントが開催される多目的スペースとして生まれ変わりました。

ル・ディヴァン・デュ・モンドは、19世紀から現代に至るまで、様々な文化や芸術が交差する場所として、パリのナイトライフを彩り続けています。その長い歴史の中で、多くのアーティストや文化人に愛され、数々の伝説的な出来事の舞台となってきました。現在も、多様な音楽イベントを中心に、新たな文化を発信する拠点として、その役割を果たしています。

公式サイト:official website

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