ルータ王国の危機

ルータ王国の危機

エドガー・ライス・バローズの『ルータ王国の危機』は、架空のヨーロッパの小国ルータを舞台にした冒険小説です。本作は全2部からなり、第一次世界大戦の背景をもとにした緊迫感あふれるストーリー展開が魅力です。日本語訳は1981年に出版され、イラストは加藤直之が手がけました。

全体の概要

この作品は1914年と1915年に発表された2つの部分から構成されています。最初の部分は「オール・ストーリー」に掲載された「ザ・マッド・キング」というタイトルで、バーニー・カスターというアメリカ人が、母の生国であるルータに足を踏み入れたことから物語が始まります。彼の訪問は、彼とルータ国王レオポルトの容貌が似ていることから、さまざまな陰謀に巻き込まれ、冒険が展開されるきっかけとなります。

第2部では時間が進み、バーニーが再びルータに戻ることになります。この物語は、彼の母国が第一次世界大戦に巻き込まれ、再び国王とともに混乱した王国の運命に立ち向かう姿を描いています。

主な登場人物

本書の魅力的なキャラクターたちが物語を彩ります。主人公のバーニー・カスターは、アメリカ人とルータ人の血を引く青年で、流暢なドイツ語を話します。彼の冒険は彼自身の内面の葛藤や成長をも映し出します。

ヒロインのエマ・フォン・デア・タンは、バーニーによって救われ、彼を王と誤解してしまいます。この誤解が様々なトラブルを引き起こし、物語をさらに刺激的にします。

ブレンツ公ペーテルは、王位を狙う陰険な摂政で、国の政局を揺るがす存在です。彼の複雑な心理や権力への執着から目が離せません。

ストーリーの進行

第1部では、バーニーが国王レオポルトとその周囲で起こる緊張感あふれる事件に関わっていきます。彼の行動は周囲に様々な影響を与え、彼自身も成長を遂げます。その一方で、ペーテル公の陰謀が明らかになり、物語はますます緊迫した展開を見せます。

第2部では、2年後の物語となり、国の情勢はさらに厳しくなります。バーニーは国王を守るために再び利用され、友情や愛情が試されるシーンが描かれます。戦争と権力に翻弄される中で、バーニーの成長と人間関係が物語に緊張感を与えています。

総括

『ルータ王国の危機』は、単なる冒険小説に留まらず、人間の心理や権力欲、愛情を描いた深い物語で構成されています。バーニーのキャラクターと共に進む冒険は、読者にさまざまな感情を抱かせ、物語の世界に引き込む力を持っています。バローズの作品は、時代を超えた魅力を持つ文学作品として、今なお多くの読者に愛されています。

もう一度検索