ルートヴィヒ (1972年の映画)

『ルートヴィヒ』

『ルートヴィヒ』は、1972年に公開されたイタリア・フランス・西ドイツの合作映画で、ルキノ・ヴィスコンティが監督を務めました。この映画は、バイエルン王ルートヴィヒ2世の即位からその死までの歴史を元にした壮大な作品であり、臨床的な孤独や芸術への狂熱、そして複雑な人間関係が描かれています。

概要

『ルートヴィヒ』は、ヴィスコンティの『地獄に堕ちた勇者ども』や『ベニスに死す』と呼ばれる「ドイツ三部作」の締めくくりでもあります。この作品は、彼の象徴的なスタイルと、豪華で美しい貴族趣味が極限まで表現されたものとなっています。特に、孤独を愛するルートヴィヒのアイデンティティと、彼が抱える愛憎劇、特に従姉のエリーザベトとの関係が中心的なテーマとなっており、また彼の芸術的な情熱を示すワーグナーとの関係性も物語の大きな柱となります。

撮影中には監督ルキノ・ヴィスコンティ自身が病に倒れ、復帰を果たしてこの映画を完成させました。しかしその過程で彼の左半身には後遺症が残りました。この映画は当初約4時間の長さであったため、配給会社から短縮を要請され、最終的には約3時間の改訂作品が公開されました。そして、1980年には当初の意図に近い4時間版が公開されました。1995年にはさらに復元されたバージョンが発表されています。

あらすじ

物語は1864年、バイエルン王国の新たな王として即位する18歳のルートヴィヒから始まります。彼は美術と音楽が王国の名声を高めると信じ、特にワーグナーに熱い思いを寄せています。ルートヴィヒは彼をサポートし、その才能を活かすために尽力しますが、ワーグナーは負担を強い、豪華な生活を送ります。

王は、従妹のエリーザベトに特別な感情を抱いていましたが、彼女は王との関わりを避け続けます。ルートヴィヒは彼女への思いを抱きながらも政治的な圧力の中で、精神の均衡を崩していきます。特に同性愛に傾倒し、華やかな生活とともに社会から隔絶される日々を送るようになっていきました。

彼の夢を実現するために豪華な城の建造や音楽の祭典に多くの資金を投入しましたが、その結果国庫には深刻な負担が掛かりました。バイエルン王国は普墺戦争や普仏戦争で厳しい状況に直面し、王は次第に現実から逃避していきます。

1886年、王はノイシュヴァンシュタイン城で拘束されます。忠実な部下であるデュルクハイム大佐は王に逃げるよう勧めますが、彼は行動を起こすことを選ばず、結局、彼は医師と散歩に出かけ、神秘的な死を迎えました。

キャストとスタッフ

映画には多くの才能ある俳優たちが集結しており、特にドイツからのキャストが多いのが特徴です。主なスタッフには、監督のヴィスコンティ以外にも音楽にワーグナーやシューマン、撮影にはアルマンド・ナンヌッツィが名を連ねています。日本では1980年に公開された後、さまざまなバージョンがリリースされています。

この作品は、ヴィスコンティの芸術的視点と人間心理の深さを映し出した歴史的な映画として評価され続けています。

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