ルートヴィヒ6世 (バイエルン公)

ルートヴィヒ6世：波乱の生涯を送ったバイエルンの公

ルートヴィヒ6世（1328年5月7日 - 1365年5月17日）は、14世紀のバイエルン公であり、ブランデンブルク辺境伯（ルートヴィヒ2世）、そしてブランデンブルク選帝侯という、ドイツの歴史において重要な地位を占めた人物です。父は神聖ローマ皇帝ルートヴィヒ4世、母はエノー伯、ホラント伯、ゼーラント伯の相続人マルガレーテであり、彼は名門の血筋を受け継いでいました。

生涯

ルートヴィヒ6世は、父ルートヴィヒ4世が神聖ローマ皇帝戴冠式のために滞在していたローマで生まれました。1347年に父が亡くなると、広大な遺領の分割が決定され、上バイエルンは異母兄ルートヴィヒ5世、ルートヴィヒ6世、弟オットー5世が共同統治することになりました。一方、下バイエルンは異母兄シュテファン2世、弟ヴィルヘルム1世、アルブレヒト1世によって共同統治されることになりました。

1351年、ルートヴィヒ6世は弟オットー5世と共に上バイエルンを兄ルートヴィヒ5世に譲渡し、その代わりにブランデンブルク辺境伯の地位を獲得しました。この決定は、彼の政治的なキャリアにおいて大きな転換点となりました。

1356年、神聖ローマ皇帝カール4世によって発布された金印勅書によって、ルートヴィヒ6世はブランデンブルク選帝侯の一人に選ばれました。これにより、彼は帝国の政治において重要な役割を担うこととなり、その影響力を高めました。

1365年、ルートヴィヒ6世はベルリンで生涯を閉じました。彼の死後、ブランデンブルク辺境伯の地位は弟のオットー5世が継承しましたが、1364年にカール4世との間で、兄弟に子供がいない場合はルクセンブルク家にブランデンブルクを譲渡するという取り決めがなされていたため、ヴィッテルスバッハ家によるブランデンブルク支配は終焉を迎えることとなりました。

結婚と後継者

ルートヴィヒ6世は生涯で二度の結婚を経験しています。最初の妻は、1349年に結婚したポーランド王カジミェシュ3世の娘クネグンダでしたが、1357年に死別しました。その後、1360年にメクレンブルク＝シュヴェリーン公アルブレヒト2世の娘インゲボルクと再婚しましたが、どちらの結婚においても子供を授かることはできませんでした。

子供がいなかったため、弟のオットー5世が後を継ぐことになりましたが、前述の通り、ブランデンブルクは後にルクセンブルク家へと移り、ヴィッテルスバッハ家の支配から離れることになりました。

ルートヴィヒ6世の生涯は、複雑な政治情勢と家督相続の問題に翻弄されたものでした。彼はバイエルン公、ブランデンブルク辺境伯、選帝侯という重要な地位を歴任しましたが、後継者に恵まれず、その政治的遺産は最終的に他の家系へと引き継がれることとなりました。

参考文献

Karl Lohmeyer (1884). "Ludwig der Römer". Allgemeine Deutsche Biographie (ドイツ語). Vol. 19. Leipzig: Duncker & Humblot. pp. 538–540.
Alois Schütz: Ludwig der Römer. In: Neue Deutsche Biographie (NDB). Band 15, Duncker & Humblot, Berlin 1987, ISBN 3-428-00196-6, S. 385 f. (電子テキスト版).

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