ルールーコウ

ルールーコウについて

ルールーコウは、那覇に住む東恩納寛量の師として知られる中国の武道家です。この人物は、時折「ドールーコー」と表記されることもあり、漢字で劉良興（宮里栄一説）や劉龍公（劉衛流説）と称されています。彼がどのように武道の世界で重要な位置を占めたのか、また彼の技術の継承における影響について詳しく探ってみましょう。

経歴の多様性

ルールーコウの経歴には、さまざまな解釈が存在します。剛柔流の文献においては、彼は「町道場の武術師匠」とされ、比嘉世幸がその例を挙げています。一方で、劉衛流では彼を「武官候補生養成所の主席師範」として紹介し、その役割の重要性を強調しています。このように、ルールーコウの経歴については見解が異なり、具体的な活動時期についても意見が分かれています。

劉衛流の見解によると、仲井間憲里は道光年間にルールーコウに師事したとされますが、剛柔流の記録によると、東恩納は1860年代から70年代にかけて中国へ渡っているとされています。さらに、ルールーコウが鳴鶴拳の謝崇祥に類似した人物であったと考えると、仲井間が彼に師事した年代は矛盾を生じます。

東恩納との師弟関係

剛柔流の伝承では、東恩納寛量が福建省の福州でルールーコウから指導を受けたと言われています。興味深いことに、道中に洪水があった際に、東恩納はルールーコウの家族を救うことで信頼を得、彼から正式に学ぶことができたとのエピソードがあります。それがきっかけで彼は後に中師匠へと昇進したとされています。

技術体系

剛柔流

剛柔流では、いくつかの形が伝承されています。具体的には、サンチン、テンショウ（転掌）、ゲキサイ（一・二）、セーサン、クルルンファ、サンセイルー、シソーチン、サイファ、そしてスーパーリンペイの形状が含まれます。ただし、テンショウとゲキサイは宮城長順によって創作されたものであり、武器術に関しては伝えられていない点が特徴的です。

劉衛流

対照的に、劉衛流では彼の直系の伝承を誇ります。仲井間憲孝の言葉によれば、「劉龍公の正統をそのまま継承している」としています。他流の長所も認めつつ、剛柔流をルールーコウの傍系と指摘している点が興味深いです。具体的な技法としては、拳法（無手の法）、兵法（兵器の法）、養生法、拳勇心法などの4種が伝わっているといいます。

実在性の議論

ルールーコウの実在性については現在でも議論が続いています。彼が実在したのか、それとも東恩納寛量自身がルールーコウという名前で呼ばれていたのかという説もあり、具体的な証拠が乏しいため、歴史的な信憑性については依然として不明瞭な状態です。

近年はその実在性に疑問を呈する意見も増えてきており、例えば、鳴鶴拳の謝崇祥や永春白鶴拳の鄭礼公の説が有力視されています。

参考文献

• - 上地完英監修『精説沖縄空手道』上地流空手道協会、1977年。
• - 渡久地雅昭「空手の歴史、その信憑性を考察する」『JKFan』2006年から2007年にかけての号。
• - 宮城篤正『空手の歴史』ひるぎ社、1987年。
• - 中谷康司他「空手道の発展における地域的2軸性」中央大学保健体育研究所紀要。
• - 沖縄県教育委員会『学校体育における空手道指導書』沖縄県版、2017年。
• - 柳原滋雄『沖縄空手への旅』第三文明社、2020年。

このように、ルールーコウは中国拳法界において重要な役割を果たした存在として、その評価は多岐にわたります。

もう一度検索