レアシルヴィア

レアシルヴィア (Rheasilvia)

レアシルヴィアは、小惑星ベスタの表面に位置する最も大きな衝突クレーターです。この壮大な構造は直径505kmに及び、ベスタの全体の直径の90%を占めるほどの大きさを誇っています。したがって、このクレーターは太陽系の中でも特に目立つ存在となっています。

位置と大きさ

レアシルヴィアは南緯75°に位置し、南半球のほぼ全域に広がっています。また、クレーターは直径395kmのベネネイアという別のクレーターの一部を覆っており、その大きさと構造はベスタの地質学的な特性を示しています。1997年、レアシルヴィアはハッブル宇宙望遠鏡によって初めてその存在が確認されましたが、その名称は2011年にドーン探査機がベスタに到着した際に正式に付けられました。この名前は、古代ローマの建国神話に登場する母なる女神レア・シルウィアに由来しています。

地質的特徴

レアシルヴィアの外周部には、周囲よりも4〜12km高い断崖が存在し、クレーターの床は周囲よりも約13km低くなっています。クレーターの中心部は盛り上がっており、直径は約200kmで、その標高は22kmに達しています。これは太陽系において知られている中で最も高い山の一つとされています。

ハッブル宇宙望遠鏡の分光学的と画像分析により、このクレーターは地殻のさまざまな層を貫通していることが判明しました。特に、かんらん石のスペクトル特性が観測されており、これによりおそらくマントルにまで達している可能性が示唆されています。

衝突の影響

レアシルヴィアの形成は、ベスタに対する破壊的な衝突が原因と考えられており、この衝突によってベスタの体積の約1%が掘り起こされたと推測されています。これに関与したとされるのは、ベスタ族に属するV型小惑星です。もしこの仮説が正しければ、約10kmにおよぶ破片が今も存在していることから、レアシルヴィアは約10億歳と推定されます。また、これはカンラン石隕石、通称HED隕石の起源でもあります。

さらに、ベスタの表面にはレアシルヴィアと同心円を描く一連の谷が存在し、その中でも最大のものがDivalia Fossaです。この谷は幅約22km、長さ約465kmに達する大規模なものです。

残された破片とその運命

レアシルヴィアの内部の破片は、形成された時期とその構造に関連性があります。現在、既知のV型小惑星は噴出した物質の約6%を占めており、残りの破片はサイズが小さすぎるため、観測が難しいか、ヤルコフスキー効果や放射圧によって排除され、カークウッドの空隙を通過して小惑星帯から除去されたものと考えられています。

以上のように、レアシルヴィアはその巨大な構造と地質的な特性により、科学者たちにとって貴重な研究対象であり、太陽系の歴史を紐解く手がかりを提供しています。

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