レイト・オブ・ザ・ピア

レイト・オブ・ザ・ピア

レイト・オブ・ザ・ピア（Late of the Pier）は、イギリスを拠点に活動したロックバンドです。彼らは2008年の鮮烈なデビュー以来、わずか数年間の活動期間ながら、その独特な音楽性によって多くの注目を集めました。特に、エレクトロニックな要素とロックサウンドを融合させた彼らのスタイルは、当時の音楽シーン、とりわけ「ニューレイヴ」と呼ばれるムーブメントにおいて重要な存在として認識されました。

バンドは2001年に結成され、長い下積み期間を経てその音楽性を確立していきます。ブレイクの兆しを見せ始めたのは2007年のこと。著名なプロデューサーでありDJでもあるエロル・アルカンとのコラボレーションにより制作されたシングル「バスルーム・ガーグル」を、独立系レーベルのモシモシ・レコーズから限定500枚という形で発表しました。この希少なリリースは、音楽ファンの間で大きな話題となり、彼らのユニークなサウンドへの期待感を高めることになります。

シングル発表後、彼らはライブ活動を精力的に行い、ハドーケン!やジャスティスといった、当時のダンス・パンクやエレクトロニックシーンを牽引していたアーティストたちのサポートアクトを務めることで、着実にその知名度を上げていきました。こうした経験は、彼らのパフォーマンススキルを磨き上げるとともに、多様な音楽ファン層にアピールする機会となりました。

そして2008年、満を持してデビューアルバム『ファンタジー・ブラック・チャンネル』を発表します。このアルバムは、先行シングルで示されたシンセサイザー主体のエネルギッシュなサウンドをさらに発展させた内容であり、批評家からも高い評価を得ました。アルバムは全英アルバムチャートで最高28位を記録し、彼らの人気を確固たるものとしました。このデビューアルバムの成功は、イギリス国内だけでなく、海外からも大きな注目を集めるきっかけとなります。

アルバムリリースの同年、彼らは日本の大型音楽フェスティバルであるサマーソニック08に出演するため、初めて日本を訪れました。日本のファンにとっても、その革新的なサウンドとライブパフォーマンスを体験する貴重な機会となりました。

レイト・オブ・ザ・ピアの音楽的特徴は、何と言ってもシンセサイザーの大胆かつ実験的な使用にあります。彼らはギターロックを基盤としながらも、ダンスミュージックやエレクトロニックポップの要素を積極的に取り入れ、予測不能で刺激的なサウンドを生み出しました。このスタイルは、同時代のクラクソンズなどと比較されることが多く、彼らは「ニューレイヴ」というシーンの旗手の一組として語られることになります。彼らの楽曲は、ポップでありながらもアヴァンギャルドな側面を持ち合わせており、当時の多くのバンドとは一線を画していました。

メンバーは以下の4名で構成されていました。

サミュエル・イーストゲート (Samuel Eastgate / 別名: Samuel Dust): バンドのフロントマンを務め、解散後はソロプロジェクト「La Priest」としても活動を展開しています。
アンドリュー・フェイリー (Andrew Faley / 別名: Francis Dudley Dance)
サム・ポッター (Sam Potter / 別名: Jack Paradise)
ロス・ドーソン (Ross Dawson / 別名: Red Dog Consuela)

彼らが正式に発表したスタジオ・アルバムは、デビュー作である以下の1枚のみです。

* 『ファンタジー・ブラック・チャンネル』 (Fantasy Black Channel) - 2008年8月リリース（全英28位）

短命に終わったバンドではありますが、レイト・オブ・ザ・ピアが残した唯一のアルバムと、その革新的なサウンドは、今なお多くの音楽ファンや後続のアーティストたちに影響を与え続けています。特に、ロックとエレクトロニックミュージックの融合を探求する現在の音楽シーンにおいて、彼らの功績は再評価されるべきものであると言えるでしょう。

もう一度検索