レイフォース (イギリス軍)

レイフォース：第二次世界大戦におけるイギリス陸軍コマンド部隊

概要

レイフォースは、第二次世界大戦中の1941年2月、ロバート・レイコック大佐の指揮下で編成されたイギリス陸軍の特殊部隊です。主に中東戦線で活動し、およそ2000名のコマンド部隊員で構成されていました。当初は地中海地域の枢軸国後方連絡線の破壊を目的とした襲撃作戦が計画されていましたが、戦況の悪化に伴い、主に既存部隊の増強に動員されることになります。バルディア、クレタ島、シリア、トブルクなどで戦闘に参加し、1941年8月に解隊されました。

編成と組織

レイフォースは、当初、複数のイギリスコマンド部隊から編成されました。第3、第7、第8（近衛）、第11（スコティッシュ）コマンド部隊などから選抜された精鋭部隊であり、後に第50および第52コマンド部隊の人員も加わりました。正式な旅団編成ではなく大佐指揮下の部隊でしたが、2000名を超える兵力は旅団規模に匹敵するものでした。保安上の理由から、4個大隊（A～D大隊）に再編され、それぞれに司令部、通信部門、特殊装備部門（フォルボットを含む）、2個コマンド中隊が配置されていました。

作戦

バルディア襲撃

1941年4月、レイフォースは北アフリカのバルディアへの襲撃作戦を行いました。海路からの奇襲作戦でしたが、悪天候や上陸地点の誤認、航空攻撃など、多くの困難に見舞われます。目標の破壊は限定的でしたが、ドイツ軍に戦力を分散させる効果はありました。

クレタ島防衛

1941年5月、ドイツ軍のクレタ島侵攻が始まると、レイフォースは島に派遣され、撤退する連合軍の後衛戦に投入されました。劣勢な状況下、激戦を戦い抜きましたが、多くの犠牲を出し、わずかな人員だけが脱出できました。

シリアでの戦闘

1941年6月、連合軍のシリア侵攻作戦において、レイフォースのC大隊はリタニ川の渡河地点を確保する任務に就きました。フランス軍との戦闘で多くの死傷者を出しましたが、オーストラリア軍の渡河を支援し、作戦の成功に貢献しました。

トブルク包囲戦

1941年7月、トブルク包囲戦において、レイフォースの一部はイタリア軍陣地への夜襲を行い、成功を収めました。

解隊とその後

1941年7月末、レイフォースは解隊されました。多くの兵士は元の部隊に戻りましたが、一部は中東に残留し、後に設立された特殊部隊（SASなど）に参加しました。レイコック大佐は、コマンド部隊の有用性を訴えるためにイギリスに渡り、ウィンストン・チャーチル首相は中東コマンド部隊の編成を指示しました。しかし、レイコックが指揮できる人員は限定的でした。中東コマンド部隊は、後の特殊部隊の母体となります。

文化・芸術への影響

第二次世界大戦を背景としたイーヴリン・ウォーの小説三部作『誉れの剣』は、レイフォースでの経験を反映した作品とされ、特にクレタ島撤退の描写が有名です。同小説を原作とするテレビ映画『バトルライン』も制作されています。

参考文献

Beevor, Antony (2015) [1991]. Crete: The Battle and the Resistance. London: John Murray. ISBN 978-0719568312
Chappell, Mike (1996). Army Commandos 1940-1945. Elite Series # 64. London: Osprey Publishing. ISBN 1-85532-579-9
* その他多数（本文中に記載された参考文献は省略）

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