レイプ・ミー

ニルヴァーナの楽曲「レイプ・ミー」

「レイプ・ミー」は、アメリカのグランジバンド・ニルヴァーナによる、彼らのサードアルバム『イン・ユーテロ』からのセカンドシングルです。この楽曲は、バンドのフロントマンであるカート・コバーンのソングライティングによるもので、1993年に「オール・アポロジーズ」とのダブルAサイドとしてリリースされました。

背景と録音

この曲は、1991年にニルヴァーナのセカンドアルバム『ネヴァーマインド』の時期にカート・コバーンによってアコースティック・ギターで作られました。バンドは1991年の初めに、この曲をライブで初めて演奏しましたが、コバーンは曲のブリッジ部分の歌詞を完成させていませんでした。

また、ニルヴァーナは1992年にMTVビデオ・ミュージック・アワードでこの曲を演奏したいと考えていましたが、MTVから「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」を演奏するように要請されました。最終的には、彼らは最新のシングル「リチウム」を演奏することに決定し、ショーの開始時にはコバーンが「レイプ・ミー」を歌い上げました。このパフォーマンスは、放送後にカットされました。

「レイプ・ミー」の最初の録音は、1992年10月にプロデューサーのジャック・エンディーノとのデモ・セッションで行われ、シアトルにて2テイクが録音されました。コバーンはボーカル録音の際、幼い娘を膝に抱えながらデモに取り組んでおり、その際の彼女の泣き声が録音に残されています。

1993年2月、バンドはサードアルバム『イン・ユーテロ』を録音するために、プロデューサーのスティーヴ・アルビニと共にミネソタ州のパキダーム・スタジオに移動し、2月15日に「レイプ・ミー」の録音を行いました。セッションでは、6時間にわたってボーカル部分が仕上げられました。

音楽と歌詞のテーマ

カート・コバーンは、「レイプ・ミー」を反レイプメッセージを持ちつつ、人生を肯定する曲と位置づけています。彼によると、歌詞は女性が強い意志を持っている様子を表現しており、その背後に感じるメッセージは力強いものです。しかし、ニルヴァーナの伝記を記したマイケル・アゼラッドは、この曲がコバーンの私生活とメディアへの嫌悪感を反映していると指摘しています。コバーン自身も、この曲が自身の過去や公になったトラブルといった視点から解釈されることに気づいていました。

ライブとリリースのバージョン

「レイプ・ミー」は、1993年9月25日に放送されたSaturday Night Liveでライブバージョンが録音され、関連アルバムに収録されています。また、2004年にはニルヴァーナのボックスセット『ウィズ・ザ・ライツ・アウト』にソロ・アコースティック・デモや1992年のスタジオバージョンが収録されました。さらに、曲は一部の店舗向けに「ウェイフ・ミー」と改名されるなど、実際のタイトルが議論にされました。

評価と位置付け

音楽の業界からも高く評価されており、Kerrang!の「100グレイテスト・ロック・トラックス・エヴァー」で90位に、NMEの「トップ20ニルヴァーナ・ソングス」で10位にランクインしています。多くの人々から愛されてきたこの曲は、ニルヴァーナの代表作として広く知られています。

もう一度検索