レイモンド・デイビス

レイモンド・デイビス・ジュニア

レイモンド・デイビス・ジュニア（1914年10月14日 - 2006年5月31日）は、アメリカ合衆国出身の著名な化学者および物理学者です。彼は特に宇宙ニュートリノの検出に関する先駆的な業績で知られ、2002年には小柴昌俊と共にノーベル物理学賞を受賞しました。

経歴

デイビスはワシントンD.C.に生まれ、1938年にメリーランド大学を卒業後、一年にわたってダウ・ケミカル社で勤務しました。その後、イェール大学に進み、1942年には物理化学のPh.D.を取得します。この年、デイビスはアメリカ陸軍に予備士官として入隊し、化学兵器の実験に従事しました。1945年に軍を退役すると、モンサントケミカルに入社し、放射化学の分野での研究を続けました。1948年からはブルックヘブン国立研究所に勤務し、1985年からはペンシルベニア大学の教授として後進を指導しました。

業績

彼の研究の中で最も重要なものは、宇宙線中のニュートリノを定量的に検出したことです。この研究はブルーノ・ポンテコルボなどの先行研究を踏まえたもので、塩素の同位体を使用してニュートリノと反応することで生成されるアルゴンの同位体を回収し、その後アルゴンの崩壊を計数する方法に基づいています。

デイビスは、サウスダコタ州にある金鉱の地下に大規模な空洞を造り、615トンの四塩化炭素を満たしました。この空洞内で、平均して1日に1個程度のアルゴンが生成される様子を観測しました。彼は1968年から予備実験を始め、1970年から本格的な観測を開始し、太陽から放出されるニュートリノの数が理論的に予測された量よりも少ないことを発見しました。この発見は「太陽ニュートリノ問題」として知られる現象を引き起こし、物理学界に大きな影響を与えました。

賞・叙勲など

デイビスの業績に対する評価は非常に高く、多くの賞を受賞しています。主な受賞歴には以下があります：

• - コムストック物理学賞（1978年）
• - トム・W・ボナー原子核物理学賞（1988年）
• - パノフスキー賞（1992年）
• - ベアトリス・ティンズリー賞（1994年）
• - ブルーノ・ポンテコルボ賞（1999年）
• - ウルフ賞物理学部門（2000年）
• - ノーベル物理学賞（2002年）
• - ベンジャミン・フランクリン・メダル（2003年）
• - エンリコ・フェルミ賞（2003年）

デイビスは、その生涯を通じて科学に多大な貢献をし、多くの後進に影響を与えました。彼の研究は、物理学の重要な問題に対する理解を深めるだけでなく、宇宙論や粒子物理学の発展にも寄与しました。

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