ダウ・ケミカル

ダウ・ケミカルの概要

ダウ・ケミカル（The Dow Chemical Company）は、アメリカ合衆国ミシガン州ミッドランドに拠点を置く世界有数の化学メーカーです。1897年に設立され、漂白剤や臭化カリウムの製造に始まりました。1999年にはユニオンカーバイドを930億ドルで買収し、デュポンを抜いて世界最大の化学メーカーとなりました。また、2008年にはローム・アンド・ハースを188億ドルで買収し、グローバルな影響力をさらに強めました。

歴史の始まり

ダウ・ケミカルは、ハーバート・ヘンリー・ダウによって設立されました。彼はミッドランドの地下にある鹹水を電気分解し、効率的に臭素を抽出する方法を発見しました。この技術により、1895年には「ダウプロセス」を設立し、やがて工場が建設されると、臭素の製造が開始されました。1900年には他の企業と合併し、「ダウ・ケミカル」となります。設立当初は漂白剤と臭化カリウムの販売に特化していましたが、その後、市場拡大と製品ラインの多様化を図った結果、多くの農業関連薬品や新しい化学製品を提供する大手になることができました。

拡大と成長

第二次世界大戦中、ダウはアメリカの軍事物資供給において重要な役割を果たしました。戦後も自動車用ピストンやプラスチック用樹脂などの新商品に取り組み続け、1930年代にはエチルセルロースやポリスチレンといったプラスチック製品の製造を開始しました。1940年代には新たな工場がフリーポートに設立され、海水からのマグネシウムの抽出も行われました。ダウの製品は急速に増加し、ジュラルミンや航空機向けの素材なども製造されました。

核兵器と環境問題

ダウ・ケミカルは1951年から1975年にかけて、コロラド州にあるロッキーフラッツで核兵器の製造を行っていました。しかし、施設内では環境汚染や放射性物質の漏洩などの問題が発生しました。この期間に発生した火災や周辺住民への影響が後の訴訟へと発展しています。さらに、1960年代と70年代には、ベトナム戦争におけるナパーム弾やオレンジ剤の製造でも知られ、これらの製品が引き起こした環境問題や住民への影響も批判されています。

合併と分割

2015年、ダウ・ケミカルはデュポンとの全株式交換による合併を発表し、「ダウ・デュポン」として新たな企業が誕生しました。しかし、合併後わずか2年以内に、農業、化学、特殊化学製品に焦点を当てた3社に分かれ、ダウは独立した企業として再上場しました。

現在の状況

ダウは、持続可能性を重視した製品開発やクリーンエネルギーへの移行を目指す企業として、今日の市場で重要な位置を占めています。また、日本国内にも子会社を持ち、製品の生産や販売を行っています。ダウ・ケミカルは、これまで数多くの歴史的な出来事を経て、化学業界における影響力を保ち続けている企業と言えます。

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