レイルマガジン

レイルマガジン：鉄道趣味の深淵を掘り下げるパイオニア

『レイルマガジン』は、1983年の創刊以来、日本の鉄道趣味界において独特の存在感を放ってきた鉄道専門誌です。ネコ・パブリッシングから発行され、その特徴は、単に鉄道車両や路線を紹介するにとどまらず、廃線間近の路線や廃車予定の車両に焦点を当て、鉄道趣味におけるトレンドを積極的に追いかける姿勢にあります。

創刊号の表紙は東北本線を駆けるED75三重連という、当時としては斬新な選択でした。以降も、「残存率−%」「ファイナルガイド！」「今なお現役」「カウントダウン」といった、読者の興味を刺激するキャッチコピーを多用し、特集を組むことで知られています。

その内容は、人気の高い車両や路線はもちろんのこと、創刊当時あまり注目されていなかった貨物列車、気動車、ディーゼル機関車にも積極的にスポットライトを当てました。さらに、鉱山鉄道や工場専用線、工事用鉄道といった、ナローゲージを含む特殊な鉄道を商業誌として本格的に紹介したのも『レイルマガジン』が最初と言われています。

競合誌と比較してA4変形判という大きな判型を採用していることも特徴の一つです。中判カメラを使用した高精細な写真や、大風景の中に車両を巧みに配置した洗練された構図の写真は、誌面のクオリティを格段に向上させています。

一方で、鉄道写真撮影の基礎や、運行中の列車へのフラッシュ撮影の危険性など、初心者にも役立つ情報を掲載するなど、熟練者だけでなく初心者への配慮も欠かしません。この丁寧な初心者向けコンテンツは、同社の鉄道模型専門誌『RM MODELS』にも受け継がれています。

さらに『レイルマガジン』は、鉄道における産業考古学的な視点にも力を入れてきました。1990年から2016年まで連載された投稿コーナー「トワイライトゾ～ン」では、工場専用線や廃線跡、廃車体など、従来あまり注目されてこなかったテーマの読者レポートを掲載し、鉄道史における隠れた側面を浮き彫りにしました。この傾向は、『RM MODELS』の連載「鉄道模型考古学」にも見られ、同社全体の特色となっています。

当初は鉄道模型の情報も掲載しており、実車と模型の両方を網羅した雑誌として人気を博していましたが、1995年には鉄道模型専門誌『RM MODELS』を独立させました。また、鉄道玩具を一般の鉄道趣味誌で扱ったのも日本で初めてであり、この連載は後に『鉄おも！』という独立した雑誌へと発展しています。

ネコ・パブリッシングは自動車雑誌の出版社でもあり、『レイルマガジン』にもその影響が見られます。創刊当初から自動車を利用した撮影ガイド（当時は「ドライブガイド」と呼ばれていた）や、バイクツーリングを絡めた記事なども掲載されており、エンスージアズムあふれる内容も魅力の一つです。

編集者や執筆者の多くは『鉄道ファン』出身者であり、その編集姿勢や記事の書き方には『鉄道ファン』譲りの伝統と、独自性を兼ね備えています。2012年から編集長を務めた新井正氏や、数々の特集記事を執筆してきた梅原淳氏もその代表例です。

2020年9月号から隔月刊となり、2022年3月号をもって定期刊行を終了。今後は不定期刊行のムックとして発売されることになりました。しかし、長年にわたって培ってきた鉄道趣味への貢献、そして数々の関連書籍や雑誌の発行は、今後も鉄道趣味界に多大な影響を与え続けることでしょう。

関連雑誌としては、『レイルマガジン』で扱いきれない内容をまとめた単行本シリーズ「RM LIBRARY」や、「国鉄時代」「ガイドブック最盛期の国鉄車輌」「RM POCKET」「トワイライトゾ～ンマニュアル」といったムックも多数発行されています。これらの書籍・雑誌は、『レイルマガジン』が築き上げた独自の視点と魅力をさらに深掘りした内容となっています。

もう一度検索