レインジャー5号

レインジャー5号の概要

レインジャー5号は、アメリカの宇宙開発計画であるレインジャー計画に属する5機目の宇宙機です。このミッションは月面衝突を目的としていましたが、残念ながら、運用中に発生した理由不明の故障により、計画通りには進行しませんでした。レインジャー5号は、月面への衝突前に10分間の画像データを送信し、また着陸カプセルを月に降下させ、地震計のデータを取得することが予定されていました。さらに、飛行中にはガンマ線のデータも収集される予定でしたが、最終的には月から725kmの地点を通り過ぎて運用を停止しました。

設計と技術

レインジャー5号はレインジャー計画のブロック2設計に基づいており、基本的にはレインジャー3号と4号と同一の仕様で設計されています。全体の高さは3.1mで、65cmの直径を持つ月着陸カプセルはバルサ材の衝撃緩和剤で覆われています。さらに、単元推進剤による軌道中間モーターや、23kNの逆噴射ロケット、直径1.5mの六角形の基礎部分など、様々な技術が組み込まれています。

特に、レインジャー5号には大型の高利得パラボラアンテナや、翼長5.2mのソーラーパネルが取り付けられており、これらは飛行後に展開される設計になっています。ソーラーパネルには8680枚のセルが組み込まれ、これらの発電により11.5kg・1kWhの銀・亜鉛電池とバックアップ電池が充電されます。 また、高度制御システムや通信用機器も搭載され、これにより安定した運用が可能でした。

ミッションの詳細

レインジャー5号は、月面への衝突実験として、既存の技術を検証するための3回目の試みとなりました。アトラス/アジェナロケットを用いて月まで加速し、途中で軌道を修正して月面に衝突する計画が立てられていました。カプセルを適切な高度で切り離し、逆噴射ロケットを点火して着陸の衝撃を軽減する予定でした。しかし、運用開始から15分後に原因不明の故障が発生し、電力確保ができなくなったことから、正常なミッションは遂行されませんでした。

8時間44分後、電力は完全に失われ、レインジャー5号は全てのシステムが停止し、宇宙機は操縦不能に陥りました。その結果、中間地点での軌道修正は行われず、宇宙機は10月21日に月から725km離れた地点を通過しました。その後、レインジャー5号は現在も太陽周回軌道を飛行しており、最終的には1,271,381kmの位置まで追跡が続けられています。

データ送信と影響

電力喪失前に、レインジャー5号は4時間分のガンマ線装置からのデータを送信しており、そのデータはミッションの一部として貴重な情報となりました。この打ち上げの失敗を受け、次のバージョンの技術はニュージャージー州のRCA社にて完全に再構築され、成功を収めることとなります。この後の探査機では、月面の画像が地上に送信され、NASAによる良好な着陸地点の特定に大きく貢献しました。

まとめ

レインジャー5号は、計画通りの衝突には至りませんでしたが、ガンマ線データ等の重要な情報を提供する結果となりました。このミッションは将来の探査機や月面着陸技術の進展に寄与し、多くの教訓をもたらしました。

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