レイン・イン・ブラッド

『レイン・イン・ブラッド』（Reign in Blood）は、アメリカのスラッシュメタルバンド、スレイヤーが1986年に発表した3枚目のアルバムです。邦題は「血の王朝」とされ、その名の通り、全編にわたって過激な表現と暴力的なイメージが展開されています。

このアルバムの特徴は、その圧倒的なスピード感と凝縮された構成にあります。収録曲は全10曲でありながら、収録時間はわずか30分弱。特に3曲目の「ネクロフォビック」は、BPMが240にも達する超高速ナンバーです。短い時間の中に、スラッシュメタルのエッセンスが凝縮されており、聴く者を圧倒します。

アルバムジャケットもまた、強烈な印象を与えます。細部まで描き込まれた絵は、おぞましい光景を描き出し、その危険な描写から、発売当時は倫理的な問題が指摘されました。発売元のレーベルから発売が危ぶまれる事態となりましたが、最終的には別のレーベルからリリースされています。

ギタリストのケリー・キングは、「このアルバムを作ったとき、あまりにも強烈だからみんなには分からないだろうと思った」と当時を振り返っています。しかし、その予想に反し、『レイン・イン・ブラッド』はスラッシュメタルの名盤として、世界中のファンから支持されるようになりました。

2005年には、ライブでの全曲演奏を収録したDVD「STILL REIGNING」が発売されました。特にラストの「レイニング・ブラッド」では、演奏中に血の雨が降り注ぎ、メンバーが血まみれで演奏するシーンは圧巻です。この演出は、『レイン・イン・ブラッド』の持つ狂気的な世界観を見事に表現しています。

アナログ盤においては、10トラック目の「レイニング・ブラッド」の楽曲終了後、レコードの収録時間一杯まで雨の音のエフェクトが続く仕掛けが施されていました。しかし、リマスターの際、このエフェクトは50秒強までカットされています。

リマスター盤には、ボーナストラックとして「アグレッシブ・パーフェクター」と「クリミナリー・インセイン（リミックス）」が収録されています。

『レイン・イン・ブラッド』は、スラッシュメタルの歴史において、非常に重要な作品です。その過激な内容、短い収録時間、強烈なジャケットは、当時の音楽シーンに大きな衝撃を与えました。今なお、多くのメタルファンから愛され続けている名盤です。

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