レオノール・デ・グスマン

レオノール・ヌニェス・デ・グスマン

レオノール・ヌニェス・デ・グスマン（Leonor Núñez de Guzmán, 1310年頃 - 1351年）は、14世紀カスティーリャ王国の貴婦人であり、当時の国王アルフォンソ11世の寵愛を一身に集めた女性として歴史にその名を刻んでいます。

彼女は、セビーリャの地で、カスティーリャの有力貴族であった父ペドロ・デ・グスマンと、母フアナ・ポンセ・デ・レオンの間に生まれました。母フアナは、かつてのレオン王アルフォンソ9世の血筋を引く家柄の出身であり、レオノール自身もまた、ユダヤ系の血筋を引いていたとする歴史的な説も存在します。こうした出自は、彼女が後の人生で経験する出来事と無縁ではなかったかもしれません。

1320年代後半、若きレオノールはカスティーリャ国王アルフォンソ11世と出会い、その深い寵愛を得るようになります。この関係は王の治世を通して長く続き、彼女は王との間に実に十人もの子どもをもうけました。当時のカスティーリャ宮廷では、正妃であるマリア王妃が王によって遠ざけられており、レオノールは事実上、王妃に等しい地位と権勢を享受しました。その影響力は絶大であり、彼女と彼女の子どもたちは宮廷内において非常に強い立場を確立していました。

彼女がアルフォンソ11世との間にもうけた子どもたちは以下の通りです。

• - ペドロ・アルフォンソ（Pedro Alfonso, 1330年 - 1338年）
• - フアナ（Juana, 1330年 - 1375年）
• - サンチョ（Sancho, 1331年 - 1343年）
• - エンリケ（Enrique, 1334年 - 1379年）- 後にカスティーリャ王エンリケ2世として即位し、トラスタマラ朝を開きました。
• - ファドリケ（Fadrique, 1335年 - 1358年）- サンティアゴ騎士団の団長を務めました。
• - フェルナンド（Fernando, 1336年 - 1342年）
• - テリョ（Tello, 1337年 - 1370年）
• - フアン（Juan, 1341年 - 1359年）
• - サンチョ（Sancho, 1342年 - 1374年）- アルブルケルケ伯となりました。
• - ペドロ（Pedro, 1345年 - 1359年）

このように、彼女の子どもたちの中には、後にカスティーリャ王国の歴史を大きく動かす人物も含まれており、レオノールの子孫は王国の有力貴族として、あるいは王位継承に関わる勢力として重要な役割を果たしていくことになります。

しかし、レオノールの栄華はアルフォンソ11世の崩御とともに終わりを告げます。1350年に王が死去すると、正妃マリアの子であるペドロ1世が即位しました。新王とその母、そして彼らを支持する勢力にとって、絶大な影響力を持っていたレオノールとその子どもたちは脅威となりました。権力構造が大きく変化する中で、レオノールは間もなくして謀反の嫌疑をかけられることとなります。

そして、1351年、レオノール・ヌニェス・デ・グスマンは、現在のスペイン・トレド県に位置する都市、タラベラ・デ・ラ・レイナの地で処刑されました。彼女の悲劇的な最期は、アルフォンソ11世の死後、その子どもたち、特にエンリケとペドロ1世の間で勃発することになる激しい内乱の伏線の一つとなりました。寵愛と権勢の頂点から、一転して非業の死を遂げたレオノールの生涯は、当時のカスティーリャ王国の複雑な政治状況と権力闘争の厳しさを物語っています。

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