レオボテス

レオボテス（Λεωβύτης）、またはラボタス（Λαβώτας）とも呼ばれる人物は、古代スパルタを支配したアギス朝において、第4代の王位にあったと伝えられています。その在位期間は概ね紀元前870年から紀元前840年頃と推定されています。彼は先代の王であったエケストラトスの子として生まれ、次代の王となるドリュッソスの父にあたります。

レオボテスの治世における主要な出来事の一つとして、近隣の強国アルゴスとの軍事衝突が挙げられます。紀行家パウサニアスの記録によれば、この戦争は、アルゴスがスパルタ本来の領地であったキュヌリア地方を自らの支配下に置いたこと、さらに、スパルタに服属していたペリオイコイの人々をスパルタから離反させようと画策したことが原因となって勃発しました。両国の間で戦いが繰り広げられましたが、最終的には決着がつかず、引き分けに終わったと伝えられています。

また、レオボテスの名は、古代スパルタの社会制度の基礎を築いたとされる伝説的な立法者リュクルゴスとの関係でも言及されます。歴史家ヘロドトスの記述によると、リュクルゴスはレオボテスの後見人であったとされています。ヘロドトスは、リュクルゴスが甥であるレオボテスの後見を引き受けるとすぐに、スパルタの法制度をことごとく改革し、その新しい規律に違反する者に対しては厳格な取り締まりを行ったと述べています。この記述が正確であれば、レオボテスの治世は、スパルタ社会がその独特で厳格な軍事的規律と社会構造を形成していく上で極めて重要な時期、すなわちリュクルゴスによる大改革が実行された時代と重なっていたことになります。リュクルゴスの改革は、後のスパルタを特徴づける礎となったと考えられており、レオボテスはそのような歴史的な転換期に王位にあった人物として位置づけられます。

レオボテスに関するこれらの情報は、主にパウサニアスやヘロドトスといった古代の著述家たちの作品を通じて現代に伝えられています。彼の治世の詳細は限られていますが、アルゴスとの領土を巡る争い、そして何よりもリュクルゴスの後見と改革の時代に重なったという点において、初期スパルタ王国の歴史において重要な役割を果たした人物と言えるでしょう。

もう一度検索