レギオン (映画)

レギオン：神と天使、そして人間の戦いの物語

2010年公開のアメリカ映画『レギオン』は、終末的な世界観と、天使と人間、そして神との戦いを描いた作品です。従来の天使像とは異なる、残虐で冷酷な天使の描写と、希望と絶望が入り混じる人間ドラマが、観る者を圧倒します。

物語は、神が人類を滅ぼすため、天使の軍団「レギオン」を地球へ送り込むところから始まります。しかし、大天使ミカエルは神に反旗を翻し、人類側に加勢します。彼は天使の翼を自ら切り落とし、武器を手に、モハベ砂漠の小さなダイナーへと向かいます。

そのダイナーには、オーナーのボブ、息子のジープ、妊娠中のウェイトレスのチャーリー、コックのパーシー、そして様々な事情を抱えた客たちが集まっていました。彼らの人生は、ミカエルの出現によって、想像を絶する方向へと転がり始めます。

突如としてテレビやラジオ、電話が故障し、客の老婆が謎の力によって凶暴化します。大量の虫が襲いかかり、次々と異常現象が発生する中、ミカエルは自分が大天使であり、神が人類滅亡を計画していることを明かします。そして、チャーリーの子宮に宿る8ヶ月の子供こそが、人類の希望であると告げます。

ミカエルは、彼らが襲撃を受けることを予見しており、武器を配り、襲いかかるレギオンの天使たちと激しい戦いを繰り広げます。ダイナーは戦場と化し、犠牲も出ます。ハワード、パーシー、カイルと、次々と大切な人々が命を落としていきます。残された者たちは、絶望と恐怖の中で、必死に生き延びようとします。

チャーリーは、レギオンの攻撃によって子供を産み落としますが、その子供を奪おうとする者も現れます。ミカエルは、ジープ、チャーリー、オードリー、そして新生児を逃がそうとしますが、大天使ガブリエルとの戦いが避けられません。ガブリエルはミカエルを倒し、彼を消滅させますが、ミカエルの肌に刻まれた指示はジープへと受け継がれます。

しかし、物語はそこで終わらないのです。ガブリエルは生き残った者たちを追跡し、オードリーは命を落としてしまいます。絶体絶命の状況の中、ミカエルは奇跡的に復活し、ガブリエルを倒します。最後は、ジープとチャーリー、そして子供は、新たな希望を胸に、砂漠の中を走り抜けていきます。

この映画は、単なるアクション映画ではありません。信仰、家族愛、そして人間の尊厳といったテーマが、終末的な世界観の中で深く描かれています。天使と人間の戦いを背景に、人間の弱さと強さ、希望と絶望が複雑に絡み合い、観る者の心に深い感動と余韻を残す作品と言えるでしょう。

キャストは、ポール・ベタニー、デニス・クエイド、ルーカス・ブラック、タイリース・ギブソン、エイドリアンヌ・パリッキなど、実力派俳優たちが集結。彼らの熱演も、作品の魅力をさらに引き上げています。2008年夏にはニューメキシコ州で主要撮影が行われ、壮大なスケールとリアリティあふれる映像が完成しました。

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