レジェンダリー・ライヴ・テープス1978-1981

『レジェンダリー・ライヴ・テープス1978-1981』

『レジェンダリー・ライヴ・テープス1978-1981』（The Legendary Live Tapes: 1978–1981）は、アメリカを代表するエレクトリック・ジャズ・バンド、ウェザー・リポートが2015年11月20日にコロムビア・レコードおよびソニー・レガシーよりリリースした、全4枚組からなる貴重なライブ・アルバムです。この作品は、バンドが最も創造的かつ商業的に成功を収めた時期の一つである1978年から1981年にかけてのライブ演奏を収めた、それまで未発表だった音源を中心に構成されています。

収録内容と編成

本アルバムは、収録された時期によってバンドの編成が異なります。

ディスク1、ディスク3: 1980年から1981年のライブ音源を収録。この時期のウェザー・リポートは5人編成であり、キーボードのジョー・ザヴィヌル、サクソフォーンのウェイン・ショーター、ベースのジャコ・パストリアス、ドラムのピーター・アースキンに加え、パーカッションのロバート・トーマス・ジュニアが参加しています。トーマスがバンドに加わったことで、サウンドに新たなリズムの層が加えられ、さらに躍動的なアンサンブルが展開されています。
ディスク2、ディスク4: 1978年のライブ音源を収録。こちらはジョー・ザヴィヌル、ウェイン・ショーター、ジャコ・パストリアス、ピーター・アースキンの4人編成での演奏が収められています。アルバム『ヘヴィー・ウェザー』とその後のツアーを経て、バンドがインタープレイの極みに達していた時期のパフォーマンスを聴くことができます。

このように、本アルバムは時期の異なる二つの重要な編成でのライブ演奏をまとめて聴くことができるため、ウェザー・リポートのサウンドの変遷を追体験する上でも大変価値ある資料となっています。

音源の出自と制作背景

本アルバムに収録されている音源の大部分は、当時のバンドのドラマーであり、本作の共同プロデューサーも務めたピーター・アースキンと、ミキシング・エンジニアとしてクレジットされているブライアン・リスナーによって、アナログテープに記録されていたものです。長らく日の目を見ることのなかったこれらのテープが、アースキン主導のもと編纂され、公式なライブアルバムとしてリリースされるに至りました。これは、当時のライブツアーにおけるバンドのエネルギーや、スタジオ録音とは異なる即興性に満ちた演奏を、現代に伝える貴重な機会となりました。

ライナーノーツとパーソネル

アルバムには、ピーター・アースキン自身による詳細なライナーノーツが付属しています。このライナーノーツの中で、アースキンは当時のウェザー・リポートのライブ・パフォーマンスやツアーの様子について、収録された楽曲ごとの具体的なディスカッションを交えながら分析しています。彼の視点から語られるバンドの内情や演奏への洞察は、リスナーにとって本アルバムをより深く理解するための手助けとなるでしょう。

参加ミュージシャンは以下の通りです。

ジョー・ザヴィヌル (Joe Zawinul): キーボード、アープ・クアドラ・シンセサイザー・ベース (ディスク1:1、3曲目)、アコースティックピアノ (ディスク2:1曲目)、チキン・ネック (ディスク1:8曲目)
ウェイン・ショーター (Wayne Shorter): サクソフォーン
ジャコ・パストリアス (Jaco Pastorius): フレットレス・ベース、ドラム (ディスク1:1曲目)
ピーター・アースキン (Peter Erskine): ドラム、ティンパニ (ディスク2:3曲目)
* ロバート・トーマス・ジュニア (Robert Thomas Jr.): パーカッション (ディスク1、ディスク3)

特にジャコ・パストリアスは、彼の超絶的なベースプレイでこの時期のウェザー・リポートのサウンドを特徴づけていますが、このアルバムでは特定のトラックでドラムも担当している点が注目されます。

『レジェンダリー・ライヴ・テープス1978-1981』は、ウェザー・リポートの絶頂期におけるライブの真髄を捉えた、ファンならずともジャズ・フュージョン史に関心を持つすべてのリスナーにとって聴きごたえのある作品と言えるでしょう。長年眠っていたテープから蘇った音源は、彼らの圧倒的な演奏力と創造性を現代に鮮やかに伝えています。

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