レジスト

レジスト：精密加工における保護膜

工業製品の製造工程において、精密な加工や処理を行う際に欠かせないのが「レジスト」です。レジストとは、材料表面の一部を保護する膜、およびその膜を作るための物質を指します。サンドブラスト、イオン注入、エッチングなど、様々な物理的・化学的処理から基材を守ることで、必要な部分だけを選択的に加工することを可能にします。その名の通り、処理に耐える（resist）性質を持つことからこの名称が付けられました。

レジストの種類は、その使用方法や用途によって大きく分類されます。主な分類として、フォトレジスト、スクリーン印刷レジスト、エッチングレジスト、めっきレジスト、ソルダーレジストなどがあります。それぞれのレジストの特徴と用途を詳しく見ていきましょう。

フォトレジスト

フォトレジストは、光や電子線への感光性を持ち、フォトリソグラフィ工程で使用されます。これは、半導体やプリント基板などの大量生産において最も一般的なレジストです。

まず、スピンコーターやスリットコーターといった装置を用いて、基材上に薄膜状にレジストを塗布します。その後、マスクを通して光や電子線を照射することで、レジストの溶解性を変化させます。露光された部分は現像液によって溶解し、除去されます。この工程により、基材上に微細なパターンを形成することができます。

スクリーン印刷レジスト

スクリーン印刷レジストは、その名の通り、スクリーン印刷を用いてパターンを形成します。フォトリソグラフィのように露光や現像といった工程を経る必要がないため、工程が簡素で、大面積への塗布にも適しています。また、重ね塗りによって厚膜を形成することも可能です。

しかし、フォトリソグラフィと比較して解像度が低いため、微細なパターン形成には不向きです。主に、プリント基板の配線など、比較的大きなパターン形成に用いられます。

エッチングレジスト

エッチングレジストは、エッチング工程におけるマスクとして使用されます。エッチングとは、化学薬品を用いて材料表面を部分的に除去する加工方法です。エッチングレジストは、エッチング液に対して高い耐性を持ち、保護すべき部分を選択的に保護します。

エッチング液の種類（アルカリ性、酸性など）に応じて、適切な耐薬品性を備えたレジストを選択する必要があります。フォトレジストは、エッチングレジストとしても広く用いられています。

めっきレジスト

めっきレジストは、めっき工程におけるマスクとして使用されます。めっきとは、電解によって金属を被膜として堆積させる加工方法です。めっきレジストは、めっき液に対して高い耐性を持ち、めっきを行わない部分を保護します。

これにより、基材上に選択的に金属膜を形成することができます。回路配線など、金属のパターン形成に広く用いられています。めっき前処理やめっき処理の薬品の種類に応じて、レジストの耐薬品性を考慮する必要があります。

ソルダーレジスト

ソルダーレジスト（はんだレジスト）は、プリント基板のはんだ付け工程において、はんだのショートを防ぐために使用されます。はんだ付けをしない部分に塗布することで、はんだブリッジによる短絡を防止し、回路を保護します。

はんだ付け後も剥離せず、そのまま絶縁膜として機能します。一般的には緑色が主流ですが、近年では様々な色があります。SR（solder resist）、ソルダーマスク、LPSM（liquid photoimageable solder mask）、DFSM（dry film photoimageable solder mask）など、様々な種類があります。

まとめ

レジストは、精密な加工や処理を可能にする重要な材料です。その種類は多岐に渡り、それぞれの用途や特性に応じて最適なレジストを選択することが、高品質な製品製造に不可欠となります。

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