レスリー・マーティン

サー・ジョン・レスリー・マーティン（1908年8月17日 - 2000年7月28日）は、イギリス・マンチェスター出身の著名な建築家であり、国際的なスタイルの主要な提唱者として知られています。彼の建築作品は、特にアルヴァ・アールトの影響を受けており、そのデザインは機能性と美しさを兼ね備えています。

人物とキャリア

マンチェスター大学を卒業後、ハル大学で教鞭を執っていたマーティンは、1937年にベン・ニコルソンやナウム・ガボらと共に前衛的な芸術と建築に関するジャーナルサークルを共同編集しました。この活動を通じて、彼は建築における革新的な思考を深めていきました。

第二次世界大戦中には、鉄道駅の爆撃被害からの復旧を監督する国有鉄道会社に採用され、プレハブ部材を用いた迅速な建設方法を開発しました。この経験が、戦後の彼の建築活動に大きな影響を与えました。

戦後、ロンドンカウンティ協議会（LCC）は、1948年にヒュー・キャッソンが率いる設計チームのチーフとしてマーティンを迎えました。その結果、彼はロイヤル・フェスティバル・ホールの設計という、非常に重要なプロジェクトを任されることになります。この建物は、彼の代表作として広く知られています。

1953年には、LCCのチーフアーキテクトとして、若手の建築家を積極的に起用しました。コリン・セントジョン・ウィルソン、ジェームズ・スターリング、アリソン＆ピーター・スミッソンらが彼の元で活躍し、建築界に新たな風を吹き込みました。また、パトリック・ホジキンソンと共にブルームズベリー地区の複合用途開発であるブランズウィックセンターの初期計画にも携わりました。

1950年代には、ブリクストンのラフバラエステートの設計も手がけ、その完成を見届けました。1956年からは、ケンブリッジ大学建築学専攻の長として、コリン・セントジョン・ウィルソンをアシスタントに迎えました。二人は、オックスフォード大学のゴンヴィル・アンド・キーズ・カレッジの居住施設やハーヴェイ裁判所ホールを含むウィリアム・ストーン・ビルディング、ピーターハウスのセントクロス・教員ライブラリなど、数々の重要な建築物を完成させました。これらの建築物は、その堅牢なレンガ造りの特徴が際立っています。

1960年代には、英国政府からセント・ジェームズ・パークとテムズ川堤防の間にあるエリアの再開発計画を委託されました。この計画では、ヴィクトリア朝やエドワード朝の多くの官庁（外務省、連邦省、旧ホームオフィスなど）の取り壊しが予定されていました。しかし、この計画は公共団体や保存団体から強い反対を受け、最終的に1971年に放棄されました。その後、既存の建物は修復され、一般公開されることになりました。

その他、レスター大学のキャンパス建設のマスタープランナーも務め、晩年にはベン・ニコルソンやバーバラ・ヘップワースなどの作品を収容するアートギャラリーの拡張プロジェクトにも携わりました。

また、マーティンはカンブリア州のブランプトンにあるモダニズム住宅「Brackenfell」（現在はグレードII指定）の設計も担当しました。この家は、テキスタイルデザイナーのアラステア・モートンとエディンバラの織物業者であるMDのために建てられ、内装はベン・ニコルソンとウィニフレッド・ロバーツによってデザインされました。彼はカーライル伯爵の娘と結婚した際にこの地域に住んでいましたが、バーバラ・ヘップワースによる小さな大理石の彫刻や絵画も所蔵していました。これらの作品は、戦争での破壊を恐れてモンドリアン、ウィニフレッド・ニコルソンらによってフランスに避難させられました。

サー・ジョン・レスリー・マーティンの建築への貢献は大きく、彼の作品は今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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